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2010年5月21日(名古屋)開催 <(一社)日本音響学会 騒音・振動研究会資料>
MPF動作音の印象評価と音質評価指標との関係
Relation between Subjective Impression of MPF Noise and Physical Sound
高松広記1、桜川夏木1、津田真友子1、野呂雄一1、土用秀明2、橋詰昌浩2
Hiroki Takamatsu1、Natsuki Sakuragawa1、Mayuko Tsuda1、Yuichi Noro1、Hideaki Doyo2、Masahiro Hashizume2
1三重大学大学院工学研究科、2京セラミタ株式会社
1Garaduate School of Engineering、Mie University、2Kyocera Mita Corporation
抄録
MFP(複合機)のプリンタ動作音の快音化を目的に、発生源別に収録・抽出した動作音を様々な条件で組み合わせた合成音(試験音)を用いて印象評価実験を行った。各試験音を「プリンタ動作音としての望ましさ」という総合的な観点から一対比較法により順位付けをした結果、得られた尺度値と桑野らが提唱するComfort Index(CI)や、これに変動強度を加えた評価指標との間に高い相関が認められた。この結果に基づいて別機種のMFPに対策を施し、その効果を一対比較法により確認した。一方で対策前後の印象の変化量(尺度値の差)を先の評価指標だけから説明することが難しく、その原因が対策前の動作音に含まれる特定の音(狭帯域の断続音)であることを確認した。
建設工事による住宅への振動伝搬性状-その1基礎工事による建物の挙動-
Vibration Propagation in the Housing during the Construction Work.-Part1.Vibration Response of the Structure Caused by Pire Driving.-
佐野泰之1、林健太郎1、塩田正純2、成瀬治興3
Yasuyuki Sano1、Kentaro Hayashi1、Masazumi Shioda2、Haruoki Naruse3
1ベネック振動音響研究所、2芝浦工業大学、3愛知工業大学
1Benec Vibration & Sound Inst. Inc.、2Shibaura Institute of Technology、3Aichi institute of Technology
抄録
住宅内部における振動測定の事例は、道路交通振動のように常時発生する振動源については、比較的多く報告されている。一方、発生が一過性である建設工事振動については、あまり多くない。
既報では、地盤加振時の住宅における振動レベル分布や振動モード特性について紹介した。その住宅に隣接する場所で建設工事が行われたため、住民反応を含む調査を実施した。本報では、このうちの基礎工事時振動による住宅の挙動について報告する。調査対象としたのは、軽量鉄骨造と在来工法木造住宅である。軽量鉄骨造の測定点については、7箇所3方向の振動を同期し、建物の挙動を把握できるようにした。この結果を解析し、建設工事による衝撃振動が、どのように地盤から建物に伝搬するかを明らかしている。
音響インテンシティを用いた吸音率測定について
Measurement of Sound Absorption Coefficient using Sound Intensity
堀康郎
Yasuro Hori
堀 康郎技術士事務所
HoriYasuro Professional Engineer’s Office
抄録
音響管を用いて吸音率を求めるには、吸音材への入射エネルギと吸収エネルギを知る必要がある。吸収エネルギは音響インテンシティにより求められることから、入射エネルギを求める方法を検討した。その結果、任意の位置の音圧と粒子速度から入射エネルギを求められることを示し、吸音率を求められることを明らかにした。有限要素法による数値シミュレーション、実験とも、音響インテンシティにより吸音率が求められることを示した。さらに、音響管の遮断周波数を超えた場合について、入射エネルギ、吸収エネルギを求め、いわゆる斜め入射の吸音率を求めたものである。
吸音率,音響インテンシティ,遮断周波数,入射エネルギ
ニューラルネットワークによる環境騒音の予測
Estimation of Enviorment Noise by Neural Network Model
藤井秀和1、野呂雄一1、久野和宏2
Hidekazu Fujii1、Yuichi Noro1、Kazuhiro Kuno2
1三重大学 大学院工学研究科、2愛知工業大学 工学部
1Garaduate School of Engineering、Mie University、2Faculty of Engineering、Aichi Institute of Technology
抄録
筆者らはこれまで環境騒音の評価に関して、ニューラルネットワークモデルを利用して短時間のLAeq実測値から環境基準に定める長時間(昼夜)のLAeqを予測する方法について検討してきた。本稿では従来からネットワークの学習・評価を行ってきた名古屋市で収集された環境騒音データに加えて、三重県内で収集した環境騒音データや一般に入手可能な名古屋市域の他の調査データを従来の学習済のネットワークを使ってどの程度予測できるかを検討した。
大型車の出現頻度を考慮した道路交通騒音を推定するための新しい数学モデル
New mathematical model to estimate road traffic noise in view of the appearance rate of heavy vehicles
丸山光信1、久野和宏1、曽根敏夫2
Mitsunobu Maruyama1、Kazuhiro Kuno1、Toshio Sone2
1愛知工業大、2秋田県立大
1Aichi Institute of Technology、2Akita Prefectural University
抄録
交通量が昼間最大900[台/h]から夜間最小300[台/h]の間で変動している高速道路に沿った位置で、道路交通騒音を推定するための新しい数学モデルを提案する。そのモデルは、例えば大型車混入率のような交通条件、継続する2台又はそれ以上の大型車の時間間隔及び実測時間長を考慮している。このモデルから計算した等価騒音レベルLAeq、T は一日を昼間と夜間を対象とした基準時間帯中、1時間毎に測定した値と極めて良く一致した。
等価騒音レベルLAeq、T,実測時間長T,最小許容車間距離Dmin,静的モデル,動的モデル
交通騒音に対する社会反応のばらつきに関するISO/TC43/SCI/WG45の議論について
Discussion on the scatter of Noise Dose - Community Response Relationship Concerning transportation noise at ISO/TC43/SCI/WG45
山田一郎1、後藤恭一1、森長誠2、加来治朗3
Ichiro Yamada1、Kyoich Goto1、Makoto Morinaga2、Jiro Kaku3
1(財)空港環境整備協会、2(財)防衛施設周辺整備協会、3(財)小林理学研究所
1Airport Environment Improvement Foundation、2Defense Facilities Environment Improvement Association、3Kobayasi Institute Physical Research
抄録
本稿では環境騒音の記述・測定・評価方法に関する国際規格ISO1996 の改訂に係る検討作業の一つである騒音暴露と社会反応の関係に関する記述の改訂に向けた作業について紹介し、その一環として筆者らが行った解析検討の結果について述べる。暴露-反応関係を求めるための既存データの統計解析において外れ値除去を行った上で回帰計算したところ、回帰式と原データとの整合性が改善され、音源間での反応の違いについても少し異なる眺め方ができることが分かった。
社会反応,不確かさ,航空機騒音,鉄道騒音,道路交通騒音
2010年6月25日(山口)開催 <(一社)日本音響学会 騒音・振動研究会資料>
音声とマスキング用雑音の到来方向がスピーチプライバシー評価に及ぼす影響
The Effect of Direction of Masking Sound on Speech Privacy Evaluation
中林想太1、佐伯徹朗2、為末隆弘3、加藤裕一4
Souta Nakabayashi1、Tetsuro Saeki2、Takahiro Tamesue3、Yuichi Kato4
1山口大学大学院理工学研究科、2山口大学工学部、3山口大学大学情報機構、4島根大学総合理工学部
1Graduate school of Science and Engineering、Yamaguchi University、2Faculty of Engineering、Yamaguchi University、3Organization for Academic Information、Yamaguchi University、4Interdisciplinary Faculty of Science and Engineering、Shimane University
抄録
近年、小規模診療所の待合室付近での問診、税務署窓口での納税相談、学校の教室での学習進路相談、仮設ブースでの法律相談など、会話の秘話性が必要とされるオープンスペースでのスピーチプライバシーの保護が重要視されている.本研究では、スピーチプライバシーを保護するための方法として、マスキング用雑音を用いて音声をマスクする方法に着目し、音声とマスキング用雑音の到来方向によりスピーチプライバシーに関する心理評価がどのように変化するかについて、音響心理実験の結果を基に考察している.
ラフ集合理論による擬音語の心理的印象評価に関する一考察
Consideration on Evaluation of Psychological Impression for Japanese Onomatopoeia using Rough Sets Theory
木崎悠太1、佐伯徹朗2、為末隆弘3、加藤裕一4
Yuta Kizaki1、Tetsuro Saeki2、Takahiro Tamesue3、Yuichi Kato4
1山口大学大学院理工学研究科、2山口大学工学部、3山口大学大学情報機構、4島根大学総合理工学部
1Graduate school of Science and Engineering、Yamaguchi University、2Faculty of Engineering、Yamaguchi University、3Organization for Academic Information、Yamaguchi University、4Interdisciplinary Faculty of Science and Engineering、Shimane University
抄録
本報告では、ラフ集合理論を用いて擬音語の音韻的特徴から音色に関する心理的印象を予測する決定ルールの抽出手法について考察している.具体的には、まず、従来のラフ集合理論により抽出された決定ルールを予測問題にそのまま適用すれば、予測精度が低くなる問題があることを指摘し、それを解決する手法を提案している.次に、提案手法により得られたルール抽出結果と数量化理論第I 類による結果との比較を行い、提案手法の有効性を確認している. 最後に、文字表記された2モーラからなる擬音語に対する印象について調査する心理実験を行い、提案手法の妥当性と有効性並びに従来手法との差異を従来の数量化理論第I 類による結果と比較して議論している.
気候変動を考慮した長期間の平均的な砲撃音レベルの推計手法
Calculation of long-term averaged sound exposure level of heavy weapon Noise considering meteorological probability of occurrence.
森長誠1、山元一平1、月岡秀文1、比内友昭2
Makoto Morinaga1、Ippei Yamamoto1、Hidebumi Tsukioka1、Tomoaki Hinai2
1(財)防衛施設周辺整備協会、2防衛省
1Defense Facilities Environment Improvement Association、2Ministry of Defense
抄録
時々刻々変化する気象条件によって変動する砲撃音レベルについて、気象条件の発生確率を用いて重み付けした年間の平均的な砲撃音レベルの算出方法について検討した。本稿では最初に砲撃音のC 特性音圧暴露レベル(LCE)の算出方法について説明するとともに、気象の発生確率で重み付けした年間の平均的な砲撃音レベル(LCden)の算出方法についてその理論と手続きを紹介する。その手法を用いて算出したLCdenの妥当性について検討するため、自衛隊が砲撃訓練を行う演習場内において約3ヶ月連続的に自動騒音測定装置で測定を行った結果と比較したところ、3ヶ月間の気象の発生確率で重み付けして算出した平均的な砲撃音レベルは、自動騒音測定装置で日々測定したLCden のパワー平均値と近い値となり、本稿で紹介する算出方法の理論的な整合性を確認することができた。
砲撃音,屋外伝搬,予測,気象,発生確率
航空機騒音監視システムで長期観測した防災無線定時放送音のレベル変動と気象条件との関係
Level Fluctuation of the broadcasting sound from the disaster prevention administrative radio system observed by the aircraft noise monitoring system and relation to meteorological condition
井出将臣、川瀬康彰、花香和之、中村和正、村井英司、篠原直明
Masaomi Ide、Yasuaki Kawase、Kazuyuki Hanaka、Kazumasa Nakamura、Eiji Murai、Naoaki Shinohara
財団法人成田国際空港振興協会
Narita International Airport Promotion Foundation
抄録
航空機騒音測定局で観測される防災無線放送音について長期間の変動の実態を調べた。夕方の定時放送音は、伝搬距離が大きくなるにつれてそのレベル変動が大きくなり、伝搬距離518m の地点では観測騒音の最大と最小の差はLASmaxで約20dB以上の差があった。また音の大きさとベクトル風速との関係については、伝搬距離が大きいほど逆風時に小さく順風時に大きくなる傾向が強く見られた。一方で日中の定時放送音については、伝搬距離160mの測定局においてベクトル風速以外の要因が影響している可能性が示された。温度勾配、天候別の気象条件に分解してその影響を調べたが明確な関連性を得るには至らなかった。
波動方程式と重ねの理
Wave equation and Principle of superposition
久野和宏
Kazuhiro Kuno
愛知工業大学
AIT
抄録
波動方程式には様々な解法がある。その殆どが方程式の線形性に留意し、「重ねの理」を巧みに利用している。音源(外力=入力)を適切な成分に分解し、受音点(観測点)において各成分の出力(応答)を加算する。波動方程式を線形システムの入出力関係として捕えることにより、各種の解法と相互の関連が見えてくる。
プレート間圧力の亢進に伴う、ピエゾ効果発露による地震予測
岡田一秀
Kazuhide Okada
トヨタ
2010年7月23日(横浜)開催 <(一社)日本音響学会 騒音・振動研究会資料>
道路交通騒音の動的モデルに基づくLAeq、Tの推定-測定時間長TとLAeq、T-
Estimation of LAeq、T based on a dynamic model of road traffic noise - Measurement time interval T and LAeq、T -
丸山光信1、久野和宏1、曽根敏夫2
Mitsunobu Maruyama1、Kazuhiro Kuno1、Toshio Sone2
1愛知工業大学、2東北大学
1Aichi institute of Technology、2Tohoku University
抄録
この論文は、高速道路周辺の交通騒音を現場で測定するとき、有効かつ正確な長時間LAeq、T値を推定するのに必要な最小測定時間長Tの選定方法について論じている。提案している数学モデルを使って、2つのシミュレーション実験が行なわれた。始めに、4つの交通条件である交通量Q、大型車混入率、平均車速度V及び通過車両台数nがLAeq、Tのレベル変動とそのレベルの変動幅ΔLAeq、Tに及ぼす影響をシミュレートし、検討した。次に、測定時間内に何度か観測されるLpAの最大値(LpA)maxに対応して、1台または継続する2台の大型車の配置状態に注目し、交通流の時間的挙動をシミュレートした。その際、新たに2つの動的統計量として、平均時間間隔tと平均再来時間Θを導入し、Tとの関係を比較検討した。
等価騒音レベルLAeq、T,実測時間長T,レベル差ΔLAeq、T,信頼区間,平均再来時間Θ
北京とエジンバラの交通騒音の自己相似性による評価
Evaluation of Traffic Noise in Beijing and Edinburgh
柴山秀雄1、真壁義明2
Hideo Shibayama1、Yoshiaki Makabe2
1文教大学情報学部、2芝浦工業大学工学部
1Bunkyo University、Faculty of Information and Communication、2Shibaura Institute of Technology、Faculty of Engineering
抄録
騒音防止は静穏性の確保と環境保全のために必要なことであり、評価値としての騒音レベルは重要な騒音評価指標であり、環境の快適性の維持にも利用されている。また、環境音のスペクトル特性は音質を評価する重要な要素である。環境音の自己相関関数の長期記憶過程から、環境音の自己相似性の評価値として、フラクタル次元を推定できる。フラクタル次元は騒音レベルとは無相関に決定できるので、騒音レベルによる環境音の評価値と異なる次元で環境音を評価できる。本論文は中国・北京とスコットランド・エジンバラの市街地で測定した交通騒音に対して、環境音の波形から求めたフラクタル次元とスペクトル特性から求めた環境音の複雑性として情報量を求めた結果を報告する。
環境音の複雑さ,平均情報量,音波の自己相似性,長期記憶過程,ボックスカウント法,電力密度スペクトル
音質因子を利用した自動車用パワーウインドモータの品質検査
Diagnosis of Vehicle Window Motors Using Sound Quality Metrics
曺浣豪1、李正權2、戸井武司1
Wan-Ho Cho1、Jeong-Guon Ih2、Takeshi Toi1
1中央大学、2KAIST
1Chuo University、2KAIST
抄録
小型モータの騒音は音圧では問題になる様な高いレベルではないが、構造的欠陥によって生じる耳障りな音は使用者のクレームに繋がるため、その機能を果たしていても不良品と分類させる.現在、モータの音質検査は生産ラインでの直接聞き取り評価で行われているが、時間・費用および信頼性の問題が生じている.本研究では音質因子と主観評価の関係から得られた評価基準を利用し、パワーウィンドモータの音質を客観的に判断する方法を提案した.その中で、モータの耳障り感がラウドネスやラフネスと高い相関関係を持つことが分かり、各因子に適切な定数を掛けて評価指標や基準を導いた.得られた基準は、誘導過程に使われていないサンプル群にも音質評価結果と73%の一致が見られた。
音質制御,パワーウィンドモータ,音質因子
MRI装置の周囲における駆動音分析
Analysis of driving sound in near field of MRI equipment
下野泰裕1、武藤憲司2、近井聖崇1、八木一夫2
Yasuhiro Shimono1、Kenji Muto2、Masataka Chikai1、Kazuo Yagi2
1芝浦工業大学、2首都大学東京
1Shibaura Institute of Technology、2Tokyo Metropolitan University
抄録
MRI装置は駆動時に音圧レベル100 dB以上の大きな音が発生する.今までにMRI装置のボア内の騒音レベルや音響インテンシティを報告した.介助者は駆動時に装置の周囲で作業している場合がある.それゆえに、装置の周囲の駆動音を計測する必要があるが、装置の周囲における駆動音の報告はない.そこで、音圧レベルと音響インテンシティを用いてMRI装置の周囲における駆動音を分析した.その結果、音響インテンシティベクトルはMRI装置のガントリ側面から放射される様子であった.音圧レベルの最大と音響インテンシティレベルの最大はともにスライスポジショニング時で、それぞれ101.7 dBと89.3 dBであった.
MRI装置,駆動音,音響インテンシティ,音圧レベル
音と光による空間デザイン-屋外空間での印象評価実験-
Space design by sound and lighting Experiment on impression evaluation in the outdoor
三島奈都美1、太田篤史1、船場ひさお2、福多佳子2
Natsumi Mishima1、Atsushi Ota1、Hisao Funaba2、Yoshiko Fukuda2
1横浜国立大学大学院、2横浜国立大学 VBL
1Yokohama National University、2VBL、Yokohama National University
抄録
本来、街路空間とは人が行き交い、賑わう場所であるべきである。本研究では、本学内の街路空間において音と光による空間デザインを実施し、印象評価実験を行った。その結果、既存空間よりも光と音による演出を実施した時の方が印象を良くすることが確認できた。また、静かさに関しては音による影響が非常に大きいが、明るさに関しては光と音の両方が影響し合っていることが分かった。また、因子分析の結果、安心感、調和感、美的性に関する因子が抽出された。安心感に関しては光による演出をするだけでなく、音による演出も行うことで、より安心感を向上させることができる。調和感に関しては音と光の組み合わせによって調和感が向上されることが分かった。また、美的性に関しては光より音の影響が強いという結果を得た。
街路空間,光環境,音環境,複合刺激,印象評価
視覚障害者のための降雨騒音低減傘とその使用感評価に関する研究
Development and Evaluation of usability of the umbrella for the visually impaired on the rainy days
上田麻理1、平栗靖浩2、藤本一寿2、佐藤洋3、川口弘幸4
Mari Ueda1、Yasuhiro Hiraguri2、Kazutoshi Fujimoto2、Hiroshi Sato3、Hiroyuki Kawaguchi4
1産業技術総合研究所ヒューマンライフテクノロジー研究部門/日本学術振興会、2九州大学大学院人間環境学研究院、3産業技術総合研究所ヒューマンライフテクノロジー研究部門、4丸安洋傘株式会社
1National Institute of Advanced Industrial Science and Technology/JSPS、2Faculty of Human-Environment Studies、Kyushu University、3National Institute of Advanced Industrial Science and Technology、4Maruyasu Umbrella Co.
抄録
本研究では、雨天時の視覚障害者の安全確保策の一つとして、降雨騒音低減傘(二重構造傘) の開発し、その低減量を明らかにするために、人工降雨装置を用いた実験室実験及び、試作した二重構造傘を用いた降雨下の実測調査を行った。さらに、試作した二重構造傘の有効性を明らかにするために、視覚障害者を対象とした使用感の評価実験、傘の降雨騒音下における音声の了解度実験を行った。その結果、二重構造傘は従来の一重構造傘に比べ、10 dB以上発生音を低減させられることがわかり、視覚障害者による使用感の評価では、音がこもった感じや違和感はなく、聴覚情報が聴き取りやすいと評価され、音声の了解度実験においても同じ降雨条件における音声了解度は従来の一重構造傘よりも二重構造傘の方が高いことが示された。
音、関係性のデザインその3
Sound、its relation to design
石田康二
Koji Ishida
株式会社小野測器
Ono Sokki Co.、Ltd.
抄録
音環境の様々な課題に対して、既報で扱った話題の内容をプロセスマッピングにより整理した。「快適な音環境の価値とは」という問いを改めて問い直し、事後的に長期の取り組みを経て認識される価値を前景化する説明力が重要と考えた。
音声情報伝達・音サインについて再考した。前報で指摘した「プロクセミックスの変化」という現象に対して、「ストレンジャーの文化」という都市の移動空間に顕著な人々の行動様式を要因として説明した。音サインについて最近行われたシンポジウムでの議論とそれに対する意見を述べた。
アーキテクチャを、「より健全な秩序を創発するための仕組み、デザインプロセス」と定義し、エコカーの安全性や電車車内の音声情報伝達の課題に対して、その枠組みからアプローチした。
参考として、ポスト近代の環境管理 = アーキテクチャに対して、近代における規律訓練型管理社会の考察を紹介した。
2010年8月20日(金沢)開催 <(一社)日本音響学会 騒音・振動研究会資料>
成田空港におけるエスカレータバリアフリー化に関する検討
Investigation about acoustic barrier-free for escalators in Narita Airport
井出孝明1、金谷英生1、田代敏夫1、伊藤祐治郎2、落合博明3
Takaaki Ide1、Hideo Kanaya1、Toshio Tashiro1、Yujiro Ito2、Hiroaki Ochiai3
1成田国際空港株式会社、2株式会社NAA エレテック、3(財)小林理学研究所
1Narita International Airport Corporation、2NAA Elevator Technology Corporation、3Kobayasi Institute Physical Research.
抄録
近年公共施設等において、バリアフリー化が進んでいる。成田国際空港内でもトイレやエレベーターへの手摺設置、点字案内の設置等バリアフリー化を進めてきた。今回、エスカレーターのバリアフリー化のために乗り口付近に音声案内装置を設置することになった。音声案内装置の設置にあたり、はじめに他空港や鉄道会社の整備状況の実態調査を行った。次にエスカレーター周辺の騒音測定、音声案内からの音の伝搬調査、無響室における音声案内の聴感実験を行い音声案内装置の最適な設置場所、設置方法等を検討した。また、実際に空港内にエスカレーター音声案内装置を設置し実証実験も行った。
バリアフリー新法,空港施設,エスカレーター,音声案内装置
エスカレータバリアフリー化に伴う音声案内装置設置に係る検討
Acoustical investigation on voice navigation system for barrier-free design of escalators.
落合博明1、牧野康一1、横田考俊1、田矢晃一1、井出孝明2、金谷英生2、田代敏雄2、伊藤祐治郎3
Hiroaki Ochiai1、Koichi Makino1、Takatoshi Yokota1、Koichi Taya1、Takaaki Ide2、Hideo Kanaya2、Toshio Tashiro2、Yujiro Ito3
1(財)小林理学研究所、2成田国際空港株式会社、3株式会社NAA エレテック
1Kobayasi Institute Physical Research、2Narita International Airport Corporation、3NAA Elevator Technology Corporation
抄録
空港施設内のエスカレータに音声案内装置を設置するにあたり、エスカレータ周辺の騒音測定、音声案内装置からの音の伝搬調査、実験室における音声案内に関する聴感実験を行い、エスカレータへの音声案内装置の最適な設置場所・設置方法等について検討した。調査結果より、音声案内装置のスピーカは左右のどちらか一方とし、可能な限り乗り口に近い場所に設置すること、音声案内のアナウンスは女性の声とし、発声速度は通常の速さとした。検討結果に基き、音声案内装置を実際に設置して実証試験を行った結果、概ね良好な結果が得られた。
エスカレータ,バリアフリー,音声案内装置,伝搬調査,聴感実験
鉄道駅空間における音サインの実態調査-横浜駅を事例として-
The fact-finding of acoustic signs in railway stations - A case study in Yokohama station -
太田篤史1、船場ひさお2
Atsushi Ota1、Hisao Nakamura-Funaba2
1横浜国立大学、2横浜国立大学 VBL
1Yokohama Nat. Univ.、2Yokohama Nat. Univ.VBL
抄録
交通バリアフリー法および関連のガイドラインの策定・施行以来、音サインの普及は一層進みつつある。しかしながら、現在設置されている音サインの中には、ガイドライに則っていながらも十分にその役割を果たせていないものもある。この意味では、現行ガイドラインの見直し・改訂は必須であろう。筆者らは、現在設置されている音サインの実情を把握すべく、JR横浜駅およびその周辺の空間において、音サインの実態調査を行ったので、これについて報告する。調査の結果、音サインの設置位置、音サインの聞こえる範囲、複数の音(サイン)の競合、暗騒音、残響・反射音、発生サイクル、音声案内の内容、音種等の点で、様々な問題が生じていることが明らかになった。
頭首工部における低周波音対策について
Measures of low frequency noise generated by diversion weir
辰橋浩二1、澤康雄1、坂下明俊2
Kouji Tatsuhashi1、Yasuo Sawa1、Akitoshi Sakashita2
1株式会社国土開発センター、2福井県
1Kokudo Kaihatsu Center Co.、Ltd.、2Fukui Prefectural Govemment
抄録
河川に設置された堰等では、越流水膜により背後空洞で共鳴が生じ、低周波成分の卓越した音が発生する場合がある。谷田部頭首工の改修工事後に民家の建具にがたつきが発生するようになり、その原因究明の結果、頭首工の改修工事において整備した副落差の越流水膜から発生している低周波音が原因であることが判明した。この結果を受け、低周波音対策として既存施設に水膜分離装置の追加設置を行い、その対策効果の検証結果について取りまとめたものである。なお、本事例については農業農村工学会京都支部研究発表会に投稿している。
頭首工,落差工,低周波音,水膜分離装置
地域防災環境科学研究所の無響室と3次元録音再生システムの導入
池田篤朗1、甲斐智鶴1、土田義郎2
Atsuro Ikeda1、Chizuru Kai1、Yoshiro Tsuchida2
1株式会社ソナ、2金沢工業大学
1SONA Corp.、2Kanazawa Institute of Technology
抄録
金沢工業大学やつかほリサーチキャンパス・地域防災環境科学研究所内に新設した無響室及び3次元録音再生システムの概要について述べる。環境アーカイブの構築を目的とした3次元録音再生システムの主な4つの構成システムの内容についてまとめるとともに、当システムの運用を主目的とした本無響室の音響設計概要について述べる。最後に無響室竣工測定結果について一部提示し、本無響室の音響仕様について確認する。
2010年10月15日(札幌)開催 <(一社)日本音響学会 騒音・振動研究会資料>
住宅地の建物群による道路交通騒音の減衰計算式
Computation of Road Traffic Noise Attenuation by Houses in Residential Area
江頭優1、外山亨1、若月孝1、長谷部正基2
Yutaka Egashira1、Toru Toyama1、Kou Wakatsuki1、Masaki Hasebe2
1エヌエス環境(株)、2北海道大学大学院工学研究科
1NS Environmental Science Consultant Corp.、2Graduate School of Engineering Science、Hokkaido University
抄録
日本音響学会の道路交通騒音予測モデルASJ RTN-Model 2008における、建物群に関する騒音の減衰量は、直線で一様な横断面の道路の非干渉性線音源を対象とする計算となっている。本報告では、道路線形が曲線の場合や道路横断面の形状が一様でない場合にも適用可能にするために、車線上に置いた点音源を対象とした建物群による騒音減衰量の計算式を検討した。直線で一様な横断面の道路条件において従来の計算式と整合した結果が得られることを確認した。
緩やかな地形変化を有する地表面に沿った長距離伝搬に関する数値解析
Numerical study on long-range outdoor sound propagation over hard ground with surface roughness
横田考俊、牧野康一、山本貢平
Takatoshi Yokota、Koichi Makino、Kohei Yamamoto
小林理学研究所
Kobayasi Institute of Physical Research
抄録
屋外における音の伝搬では、幾何拡散、障害物による遮蔽、空気吸収、地表面インピーダンス等が主な減衰要因と考えられている.しかしながら、幾何拡散を除く上記3 種の減衰要因の影響を受けにくい低周波数帯域についても、いわゆる超過減衰がしばしば生じる.そこで、低周波数帯域の長距離伝搬における超過減衰の仕組みを解明し、減衰量の実用的な予測モデルを構築することを目的として、緩やかな地形変化が音の伝搬特性に及ぼす影響についてFDTD法による数値解析を用いて検討を行った.その結果、緩やかな地形変化の影響により、長距離伝搬において比較的大きな超過減衰が生じることが分かった.また、緩やかな地形変化(地表面ラフネス)の程度と有限インピーダンスを関連づけることで、実用的な予測モデルが提案できる可能性が示唆された.
Long-range propagation,Surface roughness,FDTD,Excess attenuation,Low-frequency
砲撃音の長距離伝搬に対する地形影響に関する実測及び数値解析による検討
Examination by field measurements and numerical simulation for terrain effects on long range propagation of heavy weapon noise.
山元一平1、森長誠1、月岡秀文1、牧野康一2、横田考俊2、山田一郎3、比内友昭4
Ippei Yamamoto、1、Makoto Morinaga、1、Hidebumi Tsukioka、1、Koichi Makino2、Takatoshi Yokota2、Ichiro Yamada3、Tomoaki Hinai4
1防衛施設協会、2小林理研、3空環協・研究センター、4防衛省
1Defense Facilities Environment Improvement Association、2Kobayasi Institute of Physical Research、3Aviation Environment Research Center、AEIF.、4Ministry of Defense
抄録
砲撃音の長距離伝搬における予測モデルを構築するにあたり、地形要因による伝搬性状の変化を把握するため、伝搬距離数kmの範囲で砲撃音レベル(LCE)を測定した。また、より詳細な検討を行うため、数値解析も行った。地表面に沿った伝搬では、点音源の幾何拡散による距離減衰の傾向に比べ減衰量が大きくなり、山による遮蔽による影響では地表面に沿った伝搬よりも減衰量が大きくなる傾向があった。谷越えなどによる空中伝搬や水上伝搬では、点音源の幾何拡散と同様の減衰傾向が見られた。なお、谷越え伝搬については、伝搬経路の長さ・谷の深さ・音源から受音点方向への地面に対する仰角を変数として、地表面の影響の変化を検討した。
砲撃音,長距離伝搬,地表面影響,空中伝搬,回折影響
航空機騒音の予測における防音堤の遮蔽効果・地上騒音の寄与・気象影響の取扱方法
Airport noise modeling taking account of noise embankment、Aircraft ground operation and meteorological effects
山田一郎1、吉岡序1、菅原政之1、篠原直明2
Ichiro Yamada1、Hisashi Yoshioka1、Masayuki Sugawara1、Naoaki Shinohara2
1空環協・航空環境研究センター、2成田空港振興協会
1Aviation Environment Research Center、AEIF.、2Narita International Airport Promotion Foundation
抄録
航空機騒音の予測は、空港周辺の広い地域を対象に騒音の影響範囲を把握することを目的とするため、離陸は滑走開始以降、着陸は着地後の制動のためのリバース終了までの騒音のみの寄与を考慮するのが常である。2008年暮れに基準が改訂され、Ldenを評価指標とするとともに、誘導路走行やエプロンでの補助動力使用、エンジンテスト等、航空機の地上運用に伴う音も周辺への影響が無視できなければ考慮することとされた。そうした地上騒音が時おり苦情の対象となるためである。空港外周に地上騒音を遮る堰堤、防音堤が築造されている空港もあり、地上騒音の影響の正確な把握にはその遮蔽効果の考慮が不可欠である。地上に沿った音の伝搬は気象の影響も受ける。本稿では、Ldenベースの予測にこれらの影響を考慮する手順を検討した結果を述べる。
騒音予測,Lden,防音堤,地上騒,気象影響
Green関数PE法による屋外音響伝搬解析
Analyses of outdoor sound propagation using Green’s function parabolic equation method
大久保朝直、横田考俊、牧野康一、山本貢平
Tomonao Okubo、Takatoshi Yokota、Koichi Makino、Kohei Yamamoto
(財)小林理学研究所
Kobayasi Institute of Physical Research
抄録
音速勾配に起因して生じる屈折伝搬について、Parabolic Equation (PE) 法の一種であるGreen関数PE法を適用した数値解析を行う。最初に、Green関数PE法の解析理論を概説し、音場の平面波展開表現に相当する手法であることを示す。次に、標準的な音速分布を想定して伝搬中の超過減衰を算出し、屈折伝搬の性質が計算結果に現れることを確認する。最後に、計算時間について検討し、Green関数PE法の計算時間は従来型のCrank-Nicolson PE法に比べて大幅に短縮されることを示す。
屋外騒音伝搬,屈折,超過減衰,音速分布
波動方程式の解
Solution of Wave Equation
久野和宏
Kazuhiro Kuno
愛知工業大学
AIT
抄録
音波の方程式を解く(音場を求める)ということは単に数学的に波動方程式を解くという問題ではない。数学的には許容される解であっても、物理的には不適格なものもある。自遊空間における音の放射は発散波であり、収れんする波や反射波はない。また、過去に向かって伝搬する波(因果性を満たさない波)や、時間とともに無限に増大する波は許容されない。方程式の解を表す積分路上に特異点がある場合には、その処理の仕方により複数の解が得られるが、物理的に妥当なものはどれか、導かれた数式の意味を読み解く必要がある。本稿では積分路上の特異点の処理方法について、簡単な場合を例に詳しく述べる。
2010年11月12日(熊本)開催 <(一社)日本音響学会 騒音・振動研究会資料>
道路交通騒音のピークレベルとその発生状況について
Consideration of peak levels of road traffic noise and the nature of their appearances
丸山光信1、久野和宏1、曽根敏夫2
Mitsunobu Maruyama1、Kazuhiro Kuno1、Toshio Sone2
1愛知工業大学、2東北大学
1Aichi institute of Technology、2Tohoku University
抄録
交通量が昼間と夜間で大幅に変化する高速道路沿道での騒音の暴露状況と交通流の関係を把握する為に、両時間帯でのLAeq、Tのレベル差ΔLAeqと騒音レベルの最大値LA、Fmaxのレベル差ΔLA、Fmaxを実測値と提案する動的モデルに基づきシミュレートした値を使って比較検討した。また、各時間帯でLA、FmaxとLAeq、Tのレベル差Lについても比較検討した。更に、交通条件の異なる各時間帯でLA、Fmaxの発生状況についても言及した。結果として、両時間帯でのLAeq、TとLA、Fmaxの対応関係が直感的に明確になると共に道路交通騒音が沿道の周辺地域に及ぼす影響を知る有力な手がかりが得られた。
ΔLAeq,ΔLA、Fmax,ΔL,出現頻度,出現回数
家電製品の音に関する意識調査
Questionnaire Survey on Sounds of Electric Home Appliances
松尾竜輝1、岩宮眞一郎2
Ryuki Matsuo1、Shin-ichiro Iwamiya2
1九州大学大学院芸術工学府芸術工学専攻、2九州大学大学院芸術工学研究院コミュニケーションデザイン科学部門
1Dept. of Design、Graduate School of Design、Kyushu University、2Dept. of Communication Design Science、Faculty of Design、Kyushu University
抄録
家電製品から発生する騒音による問題点などを検討するため、アンケート調査を行った。製品のうるささを尋ねた結果、掃除機、ドライヤー、ミキサーがうるさいとされたが、音で悩まされている製品では掃除機、洗濯機、パソコン、ドライヤーが挙げられ、うるさい製品と完全に一致しているわけではなかった。単身生活者であるかなどによっても製品音に対する認識が異なるという結果も得られた。一般に、家電製品の騒音は小さい方が望ましいが、あまり問題とは捉えられていない現状が示唆された。家庭内音環境の実地調査を行い、製品の騒音レベルは音の大きさの主観的判断と相関があるが、うるささや改善要求度とは対応がないことなどが示された。
家電製品,発生音,うるささ,音環境,アンケート
携帯型音楽プレイヤーの使用状況に関する実態調査
A Survey on Usage of Portable Audio Devices
濱村真理子、岩宮眞一郎
Mariko Hamamura、Shin-ichiro Iwamiya
九州大学
Kyushu University
抄録
携帯型音楽プレイヤー使用者にアンケートを行い、危険に遭遇した経験の有無や環境音に対する意識など現状を調査した。携帯型音楽プレイヤー使用時に危険に遭遇したことのある者、環境音を「うるさい」と感じている者がいることが分かった。さらに、聴取状態の実態把握のため周囲に騒音の無い環境下および自動車走行音と電車内騒音が存在する環境で最適聴取レベルを測定した。騒音の無い環境下での平均最適聴取レベルは58.0 dBであった。騒音環境下での平均最適聴取レベルは自動車騒音では71.1dB、73.2dB、電車内騒音では71.9dB、72.9dBといずれも静かな環境下での平均最適聴取レベルを上回り、周囲の音が聞こえにくい状況が生じていることが示唆される結果となった。
携帯型音楽プレイヤー,アンケート調査,最適聴取レベル
住民意識から見る交通騒音及び振動による住環境への影響
Effects of traffic noise on living environment from community responses
横島潤紀1、岡本卓馬2、太田篤史2、田村明弘2
Shigenori Yokoshima1、Takuma Okamoto2、Atsushi Ota2、Akihiro Tamura2
1神奈川県、2横浜国立大学大学院
1Kawagawa Prefectural Government、2Yokohama National University
抄録
本研究の最終目標は、騒音・振動と総合的な住環境との関係を明らかにし、暴露量からの影響を定量化することである。本稿では、その基礎的な考察に資するために既往の社会調査のデータを用いた検討を行った。具体的には、1999~2000年度に実施した道路騒音・振動調査、2001~2003 年度に実施した新幹線騒音・振動調査、2004~2006年度に実施した複合騒音・振動調査の個票データ及び騒音測定データである。調査ごとに個々の住環境要因に対する評価(満足度と重要度)を明らかにするとともに、騒音・振動に着目して評価間の関係を考察する。さらに、騒音・振動から住環境評価への影響についても探索する。
人の全身振動知覚特性に関する2、3の検討
Some consideration on human perception thresholds of whole-body vibration
松本泰尚1、国松直2
Yasunao Matsumoto1、Sunao Kunimatsu2
1埼玉大学、2産業技術総合研究所
1Saitama University、2National Institute of Advanced Industrial Science and Technology
抄録
国内外の環境振動評価法における評価量や評価基準の設定においては、人の全身振動知覚特性に関する知見が用いられてきたが、必ずしも十分な蓄積があったとは言えない.本報では、全身振動知覚特性に関する知見のさらなる蓄積のため、過渡的な特性を持つ振動に対する知覚に関し、被験者実験により検討した結果について述べる.実験では、戸建て住宅で外部振動源により発生し得る振動をある程度想定した水平方向の過渡的振動を用い、座位被験者の知覚閾を測定し、振動特性が知覚に与える影響について検討した.また、現行の振動評価法に基づく評価量を用い、実験で測定した知覚閾を評価することで、各種評価法による異なる振動に対する知覚閾評価のばらつきを検討した.
環境振動,全身振動,振動知覚,被験者実験
九州新幹線開通前の隣接並行JR鹿児島本線の騒音・振動に関する社会調査
Social survey on community response to noise and vibration from conventional railway lines before the opening of Kyushu Shinkansen Line
村上泰浩1、矢野隆2、鉄谷浩之3
Yasuhiro Murakami1、Takashi Yano2、Hiroyuki Tetsuya3
1崇城大学、2熊本大学、3熊本県庁
1Sojo University、2Kumamoto University、3Kumamoto Prefectural Govemmental Office
抄録
平成23年3月に九州新幹線鹿児島ルートの全線開通が予定されている。熊本駅を挟む崇城大学前駅から宇土駅間17km は、在来線のJR鹿児島本線が新幹線と隣接している。熊本駅から崇城大学前駅までの6km は在来線の高架化工事が同時に進められている。在来線軌道を一次仮線、二次仮線と変えながら行う工法が取られ、新幹線高架の下に在来線二次仮線軌道の敷設は、国内では初めての方法である。新幹線と在来線が隣接並行する鉄道沿線での鉄道騒音に対する騒音暴露と社会反応の関係を経時的に調査し、沿線住民の社会反応が、新幹線開通前後や在来線高架化でどのように変化するかを調べることにした。本研究の全体計画を述べ、新幹線開通前の熊本駅-崇城大学前駅間の在来線沿線の住宅を対象に実施したアンケート調査結果を示し、騒音測定から得られた各住戸の騒音暴露量と鉄道騒音に対する不快感等の関係を検討した。
九州新幹線,在来線鉄道,高架,騒音・振動,社会調査
保育園の室内音環境への吸音の効果に関する現場実験
A field experiment on the effect of sound absorption on indoor sound environment of nursery school classrooms
川井敬二
Keiji Kawai
熊本大学大学院自然科学研究科
Graduate School of Science and Technology、Kumamoto University
抄録
本研究では実際の保育園の3つの保育室を対象に、室内天井の全面あるいは半面に多孔質吸音材を設置する現場実験を実施し、吸音材設置条件下の室内音環境の推移を計測した。対象とする保育室はいずれも3歳~5歳の園児による混成クラスである。吸音材なし・全面吸音の条件での平均吸音率(残響時間の実測値から推定)は1kHz 帯域でそれぞれ0.30 および0.16 程度であった。3つの保育室の条件を実験期間(一ヶ月)の前半を吸音材なし、天井半面吸音、天井全面吸音とし、後半は半面吸音で統一した。騒音レベル実測の結果、吸音条件によって昼食時、絵本読み聞かせ時、午睡時の保育室内の騒音レベルに明確な差がみられた。
2010年12月17日(京都)開催 <(一社)日本音響学会 騒音・振動研究会資料>
音環境の計測における主観的音源識別の不確かさ
Uncertainty of the subjective identification of sound sources in measuring sonic environment
西尾翼1、高島智哉1、松井利仁1、平松幸三2
Tsubasa Nishio1、Tomoya Takashima1、Toshihito Matsui1、Kozo Hiramatsu2
1京都大学工学研究科、2京都大学 ASAFAS
1UEE、Kyoto University、2ASAFAS、Kyoto University
抄録
環境省が示す騒音評価のマニュアルには、除外音処理を行うよう記載してあり、一般に騒音測定の際には音源識別が行われている。また、積極的に音源の情報を取り入れた評価方法も提案されている。音源識別は測定者の主観に基づいて行われ、その結果は主観の影響を受ける。除外音処理などで音源識別は広く行われているものの、その不確かさの検証は十分に行われていない。本研究では、京都市嵐山地域で収録した音環境を用いて、被験者が音源識別を行った。その結果に基づいて、音源識別の不確かさについて検討した。暗騒音と識別した音のレベル差が大きくなるほど、不確かさが小さくなり、本研究で対象とした音環境では、暗騒音(LA95)より10dB 以上高いレベルでは、ほぼ1%以内の不確かさとなった。
音環境,主観的音源識別,不確かさ,暗騒音
環境基準評価におけるLAeq計算方法の見直し-対象音と除外音の独立性に基づく方法-
Consideration on calculations of LAeq for environmental quality standards- A method besed on the independence between target sounds and non-target sounds -
東一樹1、松井利仁2、平松幸三2
Kazuki Higashi1、Toshihito Matsui2、Kozo Hiramatsu2
1日本気象協会、2京都大学
1Japan Weather Association、2Kyoto University
抄録
環境基準評価の除外音処理にあたっては、除外音を除いた測定値のLAeqが計算されているが、低レベルの除外音を多く除外すると、除外音処理後のLAeqが本来のLAeqよりも高く算定されことが既に報告されている。本研究では、除外音が発生するタイミングが対象音の変動特性とは独立しているという仮定を置くことにより、対象音の本来のLAeqを求めるための計算方法を導出した。そして、実測結果に基づいて比較検討したところ、従来の計算方法では理論的に従来の計算方法によるLAeqの方が導出した方法によるLAeqよりも常に高値となった。従来の計算方法は、除外音の頻度が少ない場合にのみ適用できる限定的な方法であるが、通常の計測では、大幅な除外が行われていることも多く、今回導出した近似解に基づく方法など、理論的に妥当な方法によりLAeqを算出する必要がある。
環境基準,除外音処理,等価騒音レベル
ANCによる3次元空間の共鳴対策
Measuring Resonance in Three Dimension Space by ANC
金内健、西村浩一
Ken Kaneuchi、Koichi Nishimura
大阪ガス株式会社
OSAKA GAS CO.、LTD
抄録
閉空間、または壁に囲まれた空間では、空間の形状に依存する固有周波数で音が増幅する.騒音源の周波数と固有周波数が一致すると、共鳴と呼ばれる現象により特定の周波数が卓越し、不快に感じやすくなる.住空間においては、波長が住空間の寸法に近い100Hz 以下の低周波で共鳴が起きやすいため、低周波音に有効なANCを利用した3次元空間の共鳴対策を検討した.逆位相音を発生させる二次音源を音源に隣接させることで、100Hz以下の騒音を10~20dB低減できることを確認した.また、二次音源を音源から離隔して設置した条件での定在波の消音効果を、境界要素法を用いた計算で予測し、最適な二次音源の設置場所を検討した.
ANC,共鳴,境界要素法,定在波,3次元
モードと固有関数-音響振動論-
Mode and Eigen function - Classical Theory of Sound and Vibration -
久野和宏
Kazuhiro Kuno
愛知工業大学
AIT
抄録
音や振動現象を理論的に取り扱うには様々な方法があるが、最も伝統的、古典的な方法はモード理論であろう。複雑な音響振動現象をそれぞれの系に固有な要素(モード/1自由度の振動パターン)に分解し、その重ね合わせにより表現するものである。音や振動に関する様々な概念や用語がそれにより生み出され、定義され、使用されている。モード理論の数学的な基盤は方程式(システム)の固有値と固有関数である。本稿では波動方程式の固有値と固有関数について述べ、モード理論や音響振動論との密接な係わりについて解説する。
フォーカスブーム
Focus boom
質問紙を用いた住宅内透過騒音の音評価に関する検討
The validity of a questionnaire measuring subjective evaluation of transportation noise through the wall using
高木悠哉1、下倉良太1、柳井修一2、細井祐司1
Yuya Takaki1、Ryota Shimokura1、Shuichi Yanai2、Hiroshi Hosoi1
1奈良県立医科大学耳鼻咽喉・頭頸部外科、2東京都健康長寿医療センター
1Department of Otorhinolaryngology、Nara Medical University、2Tokyo Metropolitan Institute of Gerontology
抄録
透過騒音とは、隣室を発生源として住居の壁を通して聴取される音と定義される[1]。本研究では、質問紙を用い、住宅内透過騒音が認知的、心理的側面に与える影響について、因子構造の同定と、各因子間の因果関係を明らかにすることを目的とした。質問紙は、過去、我々が透過騒音を測定するために用いた質問紙[2]を改定して使用した。大学生を参加者として調査を行った結果、透過騒音の音評価は2 因子構造に、音評価ののちにもたらされる不快感は1因子構造となることが明らかとなった。また、イメージする透過騒音場面によって音評価と不快感の関係性が異なることが明らかとなった。
透過騒音,質問紙法,因子構造,音評価,不快感
-非可聴振動から直感的な音への音像変換-
Acoustic Image Conversion from Non Audible Vibration into Effective Sound
岡田和秀
Kazuhide Okada
トヨタ
抄録(英語)
Vibration under 20Hz is inaudible. But there are many chances in which we have to convert it into the audiblesound itself considering the protection of the harm toward the physics and so it is easy to merge the changed sound withinstrumental sound. As for the effective merging way with instrument we discuss
ロードノイズ,パッシブ,アクティブ
road noise,passive active,active