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2011年1月25日(新潟)開催 <(一社)日本音響学会 騒音・振動研究会資料>
台車騒音に対する各種防音壁の低減効果に関する数値解析
Numerical analysis on the shielding effects of several barriers against bogie noise
廣江正明1、石川聡史2
Masaaki Hiroe1、Satoshi Ishikawa2
1(財)小林理学研究所、2JR東日本研究開発センター
1Kobayasi Institute of Physical Research、2Research and Development Center of JR East Group
抄録
2次元円筒波解から3次元点音源解への変換手法を応用して、台車音源を非干渉性線音源と見なした場合の防音壁の低減効果を計算した。3次元解の変換手法を台車騒音の伝搬問題に適用することの妥当性は、反射性逆L型防音壁を対象とした模型実験で検証した。先端形状の変更に伴う低減効果の改善量に着目して、2次元解の干渉性線音源と3次元変換の非干渉性線音源の音源性状による違いを検討した結果、2次元音場特有の干渉が支配的な場合に両者の差が大きくなるが、2次元音場特有の干渉の影響を除くと、干渉性線音源と非干渉性線音源に対する改善量はほぼ一致することが分かった。
在来線騒音予測のための音源のモデル化
Sound source modeling for noise prediction of conventional railways
小林知尋1、横山栄2、矢野博夫3、橘秀樹4
Tomohiro Kobayashi1、Sakae Yokoyama2、Hiroo Yano3、Hideki Tachibana4
1千葉工大・院、2東大生研、3千葉工大、4千葉工大付属研究所
1Graduate School of Computer Science、Chiba Institute of Technology、2Institute of Industrial Science、the University of Tokyo、3Department of Computer Science、Chiba Institute of Technology、4General Research Institute、Chiba Institute of Technology
抄録
これまで筆者らは、在来線鉄道の騒音予測手法を開発するための基礎的検討として、実測調査に基づいた音源モデルの提案をしてきている。本報では、在来線の駅近傍などでポイントや信号制御のために避けることのできないレール継目に着目し、騒音予測のための音源モデルを今一度整理するとともに、騒音の発生特性と伝搬特性の実測調査を行った。その結果から、レール継目音の速度依存性や車種による影響、継目の種類による影響などについて報告する。
在来線鉄道,音源モデル,レール継目,音響エネルギーレベル
自動車走行騒音の音響パワーレベルの測定 -一般車および次世代車に着目した検討-
Measurement of the sound power level of common vehicles and Next generation vehicles running on ten general roads
岡田恭明、今川和也、吉久光一
Yasuaki Okada、Kazuya Imagawa、Koichi Yoshihisa
名城大学理工学部
Faculty of Science and Technology、Meijo University
抄録
密粒舗装道路を走行する一般の使用過程車(乗用、小型貨物、中型、大型車および二輪車)と次世代自動車の一つであるハイブリッド車を対象に、定常走行時の音響パワーレベルの測定を愛知県内10箇所の道路にて行った。得られたパワーレベルをASJ RTN-Modelで提案されているそれと比較した結果、両者の間に顕著な差は認められないこと、ハイブリッド車のパワーレベルは乗用車のそれに比べて全体的に低くなること、またパワーレベルの周波数特性は車種で異なることなどが確認された。
郊外地域における道路交通騒音伝搬への風の影響に関する基礎的実測調査
Basic field measurements on effect of winds to road traffic noise propagations in a suburb area
大嶋拓也、伊井政樹
Takuya Oshima、Masaki Ii
新潟大学工学部
Faculty of Engineering、Niigata University
抄録
屋外音響伝搬において風の影響を無視できないことは度々指摘されている。実測によるその影響の検討も多いが、その多くはスピーカ音源などの点音源を対象としている。一方で主要な屋外騒音である道路交通騒音は線音源であるが、実際の道路交通騒音伝搬における風の影響を調べた実測研究は少ない。そこで本研究では、開けた郊外地域における道路交通騒音を対象に実測調査を行った。その結果、ベクトル風速の増加に伴う過剰減衰の増加傾向は日本音響学会道路交通騒音予測モデルより若干強い傾向があった。また、遠近両測定点間のコヒーレンスは、風速の乱れ強さの上昇とともにゼロへと収斂する傾向であった。
道路交通騒音,気流効果,実測調査,コヒーレンス,乱れ強さ
ヘルムホルツ共鳴器の共鳴特性の3次元観測について
Three-dimensional observation of resonance characteristics of Helmholtz resonators
飯塚勇太1、岩瀬昭雄2
Yuta Iizuka1、Teruo Iwase2
1新潟大学大学院自然科学研究科、2新潟大学工学部
1Graduate School of Science and Technology、Niigata University、2Faculty of Engineering、Niigata University
抄録
ヘルムホルツ共鳴器は室内固有振動のような低周波のブーミングが生じたい際の抑制に非常に効果的な音響機構である。この材料は狭い範囲で鋭い吸音反応を示すことが知られているが、この特性の解明過程で理論式から想定される共鳴周波数と実際の計測で得られた結果に相違があることが判明した。本研究では、ヘルムホルツ共鳴器の周辺の空気粒子の挙動を観測し、その原因を究明するため、粒子速度センサーを用いてネック周辺や共鳴器内部の粒子速度分布や共鳴特性の計測を行った。また、共鳴器内外の粒子速度および音圧の周波数特性を連続的に観測すると、共鳴特性に関わるような詳細な結果も得られた。これら明らかになった内容を報告する。
ヘルムホルツ共鳴器,共鳴周波数,音響計測,粒子速度センサー
アクティブ音響インピーダンス制御による有限板の透過音抑制に関する研究
Study on suppression of transmitting sound through a finite board with Active acoustic impedance control
森大志郎、萩尾淳二、尾本章
Taishiro Mori、Junji Hagio、Akira Omoto
九州大学大学院芸術工学府
Graduate School of Design、Kyushu University
抄録
音波の伝搬媒質の比音響インピーダンスを能動的に制御することで、制御点での吸音効果と、音波の進行方向制御効果が得られることが知られている。本報告では壁面を透過する騒音低減のため、比音響インピーダンスを制御対象としたアクティブコントロールを用いて、有限矩形板に入射する音の透過抑制及び板に生じるコインシデンス効果の抑制について検討した結果を述べる。無限バッフルを有する有限板によって区切られた二つの音場を有限要素法・境界要素法を用いて解析し制御シミュレーションを行った結果、制御系を適切に配置することによる透過側音場の静粛化および音波の入射角制御の可能性が明らかになった。
音響インピーダンス制御,音波の進行方向制御,音響振動連成解析,コインシデンス効果
2011年2月10日(沖縄)開催 <(一社)日本音響学会 騒音・振動研究会資料>
集合住宅において遮音性能を低下させる要因について
About some factors to decrease sound insulation performance in multifamily housing
大脇雅直1、黒木拓1、財満健史1、山下恭弘2
Masanao Owaki1、Taku Kuroki1、Takefumi Zaima1、Yasuhiro Yamashita2
1(株)熊谷組技術研究所、2信州大学名誉教授/山下研究室
1Kumagai gumi Co.、Ltd、、2Professors emeritus/Yamashita laboratory
抄録
集合住宅において遮音性能を低下させるいくつかの要因について検討を行った。せっこうボード直貼り工法は、空気音遮断性能を低下させる大きな要因であるため界壁には使用されない。しかし、外壁側の内装仕上げとしては一般的に使用されている。この工法が使用される面積が大きいと軽量床衝撃音遮断性能が低下することを示した。次に、乾式二重床工法を使用するにあたって設計上および施工上配慮しておく必要がある項目について検討した。最後に、界壁の断熱折り返し部に用いられる断熱パネルを接着すること、または、コンクリートに打ち込むことによって空気音遮断性能がどの程度低下するかを検討した。
集合住宅,床衝撃音遮断性能,空気音遮断性能,せっこうボード直貼り工法,S1 工法
聴覚障害者の移動支援に関する基礎的研究 その1 -聴覚障害者を対象とした屋外歩行に関する意識調査-
Fundamental study on the mobility support for the hearing-impaired Part1 Questionnaire surveys of walking environment for the hearing-impaired
上田麻理1、三好茂樹2
Mari Ueda1、Shigeki Miyoshi2
1産業技術総合研究所/日本学術振興会、2筑波技術大学/障害者支援研究部
1National Institute of Advanced Science and Technology/Japan Society for the Promotion of Science、2National University Corporation Tsukuba University of Technology
抄録
これまで聴覚障害者のコミュニケーション支援に関する研究は多くなされているが、屋外の歩行空間を対象とした研究はほとんどなく、聴覚障害者がどのような情報を手掛かりに歩行しているかは明らかではない.後方や死角からの車両の接近、暗闇、悪天候時等の視覚情報を取得し難い状況ではどのように危険を回避しているのだろうか.
本研究では、聴覚障害者の音環境整備のための第一段階として、聴覚障害者の歩行時の情報利用の現状と問題を明らかにするために、聴覚障害者を対象とした意識調査を実施した.その結果、重度の聴覚障害者も、聴覚情報を日常的に手掛かりにしていること、環境騒音が大きい場合や自転車等の走行音が静かな車両は聴覚障害者にとって危険であることを示した.
沖縄県の嘉手納飛行場及び普天間飛行場に関する環境騒音調査について
Research on the noise Environment of the Kadena air bases and the Futenma air bases on Okinawa
渡嘉敷健
Takeshi Tokashiki
琉球大学工学部
Univ.of the Ryukyus
抄録
現在、沖縄県には約236.7k㎡の米軍基地が所在し県土面積2274.6k㎡の10.4%を占めており、米軍基地が関係市町村の都市計画などに大きな影響を与えている。中でも航空機騒音問題は深刻で、離着陸音やエンジン調整音など周辺住民の生活環境に多大な悪影響を及ぼしている。
本研究は米軍嘉手納飛行場、普天間飛行場周辺に航空機騒音を実測調査するため測定点を置き、周辺地域の航空機騒音の現状を把握、騒音軽減の提案、主観的な評価をするための基礎データの収集を目的とする。
立場の異なる人との相互理解を目指した音環境教育 -2次元イメージ展開法を用いて-
An Acoustic Environmental Education for Mutual Understanding between Diverse Groups Using Haptic Two-Dimensional Mapping
根津恭子1、永幡幸司1、守山正樹2
Kyoko Netsu1、Koji Nagahata1、Masaki Moriyama2
1福島大学、2福岡大学
1Fukushima University、2Fukuoka University
抄録
本稿では、小学生を対象に実施した、2次元イメージ展開法を用いて、視覚障害の有無に関わらず、参加者同士が音環境に対する考えを相互理解することを目指した音環境教室の事例を紹介する。アイマスク体験前後に2次元イメージ展開法を用いて音の感じ方について整理することによって、参加者が視覚障害者の立場をある程度理解できることがわかった。さらに、参加者と視覚障害者のマップを比較し、マップを介した対話をしたことにより、立場の異なる者同士が同じ枠組みで円滑に議論をすることができた。このようにして、音の感じ方について相互に理解することによって、お互いにとってのよい音環境のあり方についてのイメージを持つことが可能であると考える。
2次元イメージ展開法,相互理解,音環境教育,視覚障害者
文学と生態系-音環境サービスを享受しやすい共生システムデザインとは-
Art and Ecosystems: Writing on Symbiotic System Design for Sound Environment Services
池野優子、松井孝典
Yuko Ikeno、Takanori Matsui
大阪大学大学院工学研究科
Graduate School of Engineering、Osaka University
抄録
本研究では、自然生態系と人間システムを包含する共生システムが適切な状態を築く、すなわち、自然生態系のストックである気候条件や環境物、植物群集、動物群集とそれに対する人々の感覚器の反応や活動系が良好な共起状態を持つことで、音環境サービスが持続的に享受できるという立場に立ち、その音環境サービスを得るための共生システムのデザインルールの仮説を生成することを目的としている。具体的には、この共生システムのデザインルールが内包されている事例集として小倉百人一首を選定し、音環境サービスを介した共生システムの概念的モデリングに基づいて、コンポーネントの出現に関するコーディングと自己組織化マップによる構造解析を行った。これにより、7つの生態系サービスを享受するためのデザインルールと5つの音環境サービスに関するデザインルールの仮説を得た。
音環境サービス,自然生態系,小倉百人一首,自己組織化マップ
唸り/AM波/超音波を聞く
Beat/AM/Ultrasonic
久野和宏
Kazuhiro Kuno
愛知工業大学
AIT
抄録
周波数の近い2つの純音(可聴音)が遭遇し、コラボレートした結果は唸りとして知覚される。唸り(ビート)は数式上は(視覚的には)AM波の一種である。唸りと通常のAM波との類似点や相違点、AM音波を用いて超音波を聞く方法等について述べる。
2011年4月18日(東京)開催 <(一社)日本音響学会 騒音・振動研究会資料>
レース用二輪車のパワーレベル測定とそのモデル化に関する検討
Measurement results of sound power levels for racing motorcycles and their calculation model
松本敏雄、横田考俊、山本貢平
Toshio Matsumoto、Takatoshi Yokota、Kohei Yamamoto
(財)小林理学研究所
Kobayasi Institute of Physical Research
抄録
本稿では、サーキットの加速走行区間においてレース用二輪車を対象にパワーレベルを測定し、その結果に基づいてパワーレベルのモデル式について検討を行った。レース用二輪車の場合、エンジン・排気系の騒音が支配的で、さらにギヤ位置が順次変化するために、A特性音響パワーレベルは概して走行速度の増加に対して低くなる傾向が見られた。次に、実測結果に基づいて速度 100 km/h を境に分けてレース用二輪車のパワーレベルモデル式を作成した。そして、そのモデル式を用いてサーキット近傍における等価騒音レベルを計算し、実測値と比較した。その結果、両者はよく対応しており、作成したレース用二輪車のパワーレベルモデル式は概ね妥当であることを示した。
半地下構造道路からの騒音伝搬に関する現場実験―高機能舗装の効果に関する検討
Field experiment on sound propagation from a semi-underground road –Noise reduction effect of porous asphalt pavement
坂本慎一1、横山栄1、松本敏雄2、船橋修3
Shinichi Sakamoto1、Sakae Yokoyama1、Toshio Matsumoto2、Osamu Funabashi3
1東京大学生産技術研究所、2(財)小林理学研究所、3NEXCO 中日本
1Institute of Industrial Science、The University of Tokyo、2Kobayasi Institute of Physical Research、3Central Nippon Expressway Co.LTD.
抄録
半地下構造道路からの騒音放射特性を把握するために、著者らは2004 年に建設途中の半地下道路を対象として伝搬特性に関するスピーカ音源を用いた実験を行った.その後、当該半地下構造道路において高機能舗装の敷設による吸音対策および吸音ルーバー設置による放射音低減対策に関する現場実験を行う機会が得られた.本報告では高機能舗装による騒音低減効果に関する実験結果について報告する.さらに、ASJ RTN-Model 2008 に示された指向性点音源モデルによる簡易計算法の適用について検討したところ、仮想点音源をグラウンドレベルに設定し、壁高欄の回折を考慮することにより精度の高い予測結果が得られることが分かった.また、指向性点音源モデルのパワーレベル式に路面―天蓋間の多重反射を考慮した修正を加え、その妥当性を確認した.
ASJ RTN-Model 2008,半地下構造道路,現場実験,指向性点音源モデルによる簡易計算法
エッジ効果抑制型遮音壁について
On the edge modified noise barrier of edge-effect control type.
河井康人
Yasuhito Kawai
関西大学・環境都市工学部
Faculty of Environmental and Urban Engineering、Kansai University
抄録
近年、道路騒音や鉄道騒音の低減のための遮音壁が至る所で用いられているが、とりわけ交通量の多い道路等では減衰量を確保するために遮音壁は非常に高いものが用いられることもしばしばである.塀が高くなれば設置コストや景観等も面からも好ましいことではなく、高さを抑えるために種々の先端改良型の遮音壁が提案されている.本稿では、従来の先端改良型とは異なる騒音低減メカニズムを用いることによって遮音壁背後のレベルを減少させる試みについて報告する.
秋の環境音における低SN比の条件下での虫の音の探索法について
The search method for chirping of insects under the condition of low signal to noise ratio in environmental sound in early autumn
柴山秀雄、柴山南子
Hideo Shibayama、Namiko Shibayama
文教大学情報学部
Bunkyo University、Faculty of Information and Communication
抄録
地域環境の生物多様性の評価要素として、観測点周辺に棲む虫が生成する環境音を実測し、音圧レベルや卓越周波数の時間経過に伴う変化を行っている.環境音を測定し、そのデータの中から、従来から観測されていた音や新たに観測された音を検出する事は重要な点である.観測している横浜郊外の地点における初秋の虫の音は、外来種のアオマツムシである.観測音の中には、アオマツムシとは別の虫の音が存在しているが、鳴いている個体数が少ない場合や継続時間が短い場合は聴覚的に虫の音の認識が困難な事がある.このような状態では、音圧レベルが低いために、SN比が低い状態で認識する必要がある.本論文は環境音を分析する際に、固有周波数の先鋭度に着目する事により、虫の音の存在を認識する手法を述べる.
桜島の爆発噴火に起因するインフラサウンド・シグナルの速度分散性
Dispersion of the Infrasound signals excited by explosive eruptions of the Sakura-Jima volcano
新井伸夫1、今西祐一2、綿田辰吾2、大井琢磨3、村山貴彦1、村田和則1、岩國真紀子1、野上麻美1
Nobuo Arai1、Yuichi Imanishi2、Shingo Watada2、Takuma Oi3、Takahiko Murayama1、Kazunori Murata1、Makiko Iwakuni1、Mami Nogami1
1日本気象協会、2東京大学地震研究所、3東邦マーカンタイル
1Japan Weather Association、2Earthq. Res. Inst 、Univ.of Tokyo、3Toho Mercantile
抄録
桜島は、2009 年より活発に噴火を繰り返しており、爆発噴火によって励起されたインフラサウンドは、約1000km 離れた千葉県いすみ市の観測施設においても観測されている。遠方で観測されたシグナルから音源を同定し、その特性を推定するには、インフラサウンドの長距離伝播特性を把握しておく必要がある。そこで、桜島と千葉県いすみ市の間の3地点に臨時観測点を展開し、桜島の爆発噴火によるシグナルの伝播過程の解明を試みた。臨時観測期間中に発生した2つの比較的規模の大きい爆発噴火のシグナルの解析からは、インフラサウンドが速度分散していることが認められ、その分散特性は、高層大気の観測データから推測される音速の鉛直分布とよく整合していることが明らかとなった。
インフラサウンド,速度分散性,音速構造,火山噴火,空振
2011年5月20日(名古屋)開催 <(一社)日本音響学会 騒音・振動研究会資料>
半地下構造道路からの騒音伝搬に関する現場実験
―吸音ルーバーの設置効果と騒音予測計算に関する検討―
Field experiment on sound propagation from a semi-underground road
– Noise reduction effect of absorptive louver and noise calculation method –
松本敏雄1、坂本慎一2、横山栄2、舩橋修3
Toshio Matsumoto1、Shinichi Sakamoto2、Sakae Yokoyama2、Osamu Funahashi3
1小林理学研究所 、2東京大学生産技術研究所 、3NEXCO中日本
1Kobayasi Institute of Physical Research 、2Institute of Industrial Science、The University of Tokyo、3Central Nippon Expressway Co. LTD.
抄録
NEXCO 中日本と小林理研が共同で開発した吸音ルーバーについて、建設中の半地下構造道路においてその設置前後で伝搬特性に関する現場実験を実施した。その結果、ルーバー設置後の音圧レベルのユニットパターンは、設置前に比べレベルが低い方にほぼ平行に移動し、吸音ルーバーの設置効果が音源位置によらず概ね一定であることが分かった。また、吸音ルーバーを設置した場合の半地下構造道路の騒音予測計算方法として、ASJ RTN-Model 2008 の計算式から吸音ルーバーの設置効果を単純に差し引く方法を示した。しかし、吸音ルーバーの現場実験における設置効果は、フルスケール実験の値より低く、予測計算に算入する値については更なる検討が必要であることが分かった
吸音ルーバー,半地下構造道路,現場実験,ASJ RTN-Model 2008
道路交通騒音の走行速度が予測精度に与える影響について
Influence of traffic speed for prediction accuracy of road traffic noise
植田知孝1、福井礼治1、野口英司1、国生昌美1、林健太郎2
Tomotaka UETA1、Reiji FUKUI1、Eiji NOGUCHI1、Masami KOKUSYO1、Kentaro HAYASHI2
1(株)オリエンタルコンサルタンツ、2(株)ベネック振動音響研究所
1Oriental Consultants Co.、、 2LTD.Benec Vibration and Sound Institute Inc.
抄録
本稿は、一般国道の密粒舗装における自動車走行騒音の等価騒音レベルに関する実測調査を行い、交通条件(交通量、走行速度、大型車混入率)が異なる箇所ごとに測定した実測値と実測時の交通条件により騒音予測(ASJ RTN-Model 2008)した予測結果(以下、予測値と称す)を比較し、走行速度等の違いが予測精度に与える影響について検討を行った結果を報告する。交通量及び走行速度の計測は、MOVTR(モバトラ:赤外線による交通量観測装置)を用い、従来の人手観測による誤差を無くした。
因果性システムの振幅特性を用いたインパルス応答の計算
Numerical calculation method of impulse responsethrough causality systems
福島昭則
FUKUSHIMA Akinori
ニューズ環境設計
NEWS Environmenral Design
抄録
線形な因果性システムでは、伝達関数の実数部と虚数部、あるいは減衰量と位相量の間に Hilbert 変換の関係が成り立つ。この関係を用いて、システムの振幅特性から位相特性を算出する方法を検討した。位相特性は振幅特性に関係した減衰量の周波数特性とある関数との畳み込み演算により得られることを示す。この方法を用いて、騒音測定に用いられるいくつかの周波数フィルタのインパルス応答を求めた。また吸音材料のノーマルインピーダンスが反
射係数により、反射係数が吸音率から求まる減衰量により与えられることに着目し、垂直入射吸音率からノーマルインピーダンスを算出する方法を報告する。さらに、この方法により障壁背後でのインパルス応答を算出し、波動計算結果との比較により有効性を示す
因果性,振幅特性,Hilbert 変換,伝達関数,インパルス応答
道路交通騒音の変動幅とその簡易計算法について
Estimation of the level range of fluctuating road traffic noise
丸山光信、久野和宏1、曽根敏夫2
Mitsunobu Maruyama、Kazuhiro Kuno and Toshio Sone
1愛知工大 、2東北大
1Aichi Institute of Technology 、2Tohoku University
抄録
この論文は、昼間と夜間で大幅に交通量が変化する高速道路沿道周辺の自動車騒音を推定するため時間率騒音レベル LAN T 特に、LA97.5及び LA95 に注目して交通流との関係を検討する。その際、LA2.5 及びLA5 と各々 LA97.5と LA95の差、R95と R90を容易に推定する計算方法を提案し、同じ交通条件下でシミュレーション実験から算出したこれらの値と比較検討した。結果として、両方法から得られた R95と R90は良く一致した。
残留騒音源,線音源,時間率騒音レベルLAN T ,90%レンジR90 ,95%レンジR95
実環境下におけるMFP 動作音の印象評価
Impression Evaluation of MFP Noise under Actual Environmental Condition.
桜川夏木1、野呂雄一1、高松広記2、土用秀明2、橋詰昌浩2
Natsuki Sakuragawa、Yuichi Noro、Hiroki Takamatsu、Hideaki Doyo、Masahiro Hashizume
1三重大学大学院工学研究科、2京セラミタ株式会社
1Garaduate School of Engineering、Mie University、2Kyocera Mita Corporation
抄録
MFP(複合機)の快音化のための標準的な設計指標を確立することを目的に、背景音の存在する実環境下でのプリンタ動作音の印象を評価した。その結果、動作音の総合的な印象評価尺度と CI や CI に変動強度を加えた物理的評価指標との対応関係が良いことが再確認された。また、一部の結果にマスキングの影響を受けた可能性が示唆されたため、マスキングを考慮した新しい物理的評価指標についても検討を加えた。
ディジタルオーディオレコーダを用いた 環境騒音の簡易測定 ―マイクロホン特性の補正方法に関する検討―
A Simplifed Measurement of Environmental Noise with Digital Audio Recorder. ― Examination for Correction Method of Microphone Characteristic ―
渡邉達也1、野呂雄一1、竹尾隆1
Tatsuya Watanabe、Yuichi Noro、Takashi Takeo
1三重大学大学院工学研究科
1Garaduate School of Engineering、Mie University
抄録
ディジタルオーディオレコーダを環境騒音の簡易測定に利用することを目的に、マイクロホンの周波数特性を補正するための小型の簡易校正用音源を製作した。また、この音源を使用して得られる補正特性を実現するためのディジタルフィルタの設計手順について検討し、実際に補正フィルタの設計と録音データのフィルタリングを自動実行するプログラムを作成した。さらに、補正処理の効果を確かめるため、実騒音を民生用のマイクロホンとディジタルオーディオレコーダで記録し、騒音計による計測結果と比較した。
音は必要な人に、必要な時、必要なだけ
Sound just as much as one wanted
蘇日嘎拉図、久野和宏
Sorigarato、Kazuhiro KUNO
愛知工業大学
AICHI INSTITUTE OF TECHNOLOGY
抄録
都市の騒音問題の主役な自動車である。その一方、ハイブリッド車 や電気自動車な低速時には音が静かすぎて、歩行者がその接近に気付かず危険 なこともある。音声は会話に不可欠であるが、周りの人々の邪魔になったり話 の内容が漏れプライバシーの侵害を引き起こしたりする。必要な人に、必要 な時、必要な量の音を如何に提供するかが問われている。本稿では最近話題と なっている自動車の接近報知音とスピーチプライバシーの問題を取り上げ、そ の解決策を考える。
ハイブリッド車,接近報知音,スピーチプライバシー,通信技術
2011年6月10日(国分寺)開催 <(一社)日本音響学会 騒音・振動研究会資料>
フィールド環境モニタリング
Noise monitoring system for area
○馬屋原博光、蓮見敏之、大屋正晴、岩橋清勝、大久保朝直、平尾善裕、横田考俊
○Hiromitsu Umayahara、Toshiyuki Hasumi、Masaharu Ohya、Kiyokatsu Iwahashi、Tomonao Okubo、Yoshihiro Hirao、Takatoshi Yokota
リオン株式会社、小林理学研究所
Tomonao Okubo、Yoshihiro Hirao、Takatoshi Yokota、Kobayasi Institute of Physical Research
抄録
これまでに多点で環境騒音を監視するシステムの検討を行ってきた。本システムは、導入しやすい構成とするため小型で扱い易く、また、計測の信頼性を担保するため連続性、耐環境性も考慮して検討を行った。今回の検討により、システムには移動体通信ネットワークと無線メッシュネットワークを使用することにした。これらのネットワークを組み合わせることによって例えば、広範囲での環境騒音、建設騒音などをモニタに応用できると考え、今回このシステムの試作を行ったので報告する。
Noise monitoring system,、Continuous measurement,Wireless network,Portable
ワイヤレスセンサ・ネットワークによる環境振動モニタリング
Environmental Vibration Monitoring Using Wireless Sensor Network
濱本 卓司
Takuji HAMAMOTO
東京都市大学工学部 建築学科
Tokyo City University
抄録
都市では,道路や鉄道からの交通振動,建設作業振動,工場振動など,多様な外部振動源から複雑な経路を経て建物内に振動が伝搬して,不愉快な床振動を励起することが少なくない。しかも,建物が密集している都市においては,このような外部振動源が引き起こす振動問題は,個々の建物の問題にとどまらず,群としての建物,すなわち地域の問題としてとらえた方がより合理的な解決につながることも多い。本研究では,このような問題を扱うことを目的に,現在開発しているワイヤレスセンサ・ネットワークを用いた広域環境振動測定システムの現状を紹介し,今後の展望を述べる。
性能規定,プロセス・アプローチ
Environmental vibration,Wireless sensor network,Urban environment
虫の音から推定した通信コードについて
Communication codes estimated from chirping of insects
柴山秀雄、柴山南子
Hideo Shibayama、Namiko Shibayama
文教大学・情報学部
Bunkyu University
抄録
虫の音の周波数特性には、固有の卓越周波数が存在し、その上音の周波数の構造と大きさ等で主の音を特徴付けられる。直翅類の鳴き声(歌)は複数のチャープから構成され、各チャープは複数のパルスから成り立ち、時間的な固有の要素として、チャープの長さ、間隔、句仕返し秋季等の時間的な特徴がある。虫はチャープを構成する固有のシラブルがある。シラブルが存在している時間領域を振幅1に設定し、それ以外はゼロに設定することで二値化の時系列信号に変換した通信コードを用いて、その時系列信号の時間的特徴を検討したので述べる。
アオマツムシ,エンマコオロギ,チャープの長さと周期,伝達情報と通信コード,二値化系列
都市騒音の伝搬に及ぼす空気の音響吸収の影響 –道路交通騒音を想定した基礎検討–
Effect of atmospheric absorption on road traffic noise propagation using observed data at a meteorological tower in a year
岡田恭明、吉久光一
Yasuaki OKADA、Koichi YOSHIHISA
名城大学理工学部
Faculty of Science and Technology、Meijo University
抄録
地上にある音源群から建物上層階への伝搬を想定し、受音点に到 達する音圧レベルが、空気の音響吸収によって年間でどの程度変動するのか を高さ 200m の気象タワーで観測されたデータを用いて計算した。また、都 市の代表的な騒音源の一つである道路交通騒音のスペクトルを用いて、受音 点の A 特性音圧レベルに実効的に寄与する音源の大きさなどについて検討を 行った。その結果、騒音伝搬に及ぼす空気吸収の影響の程度は音源の形状に 依存すること、またその程度は周波数で異なることなどがわかった。
波動方程式と拡散方程式そしてSchroedingerの方程式
Wave & Diffusion eq. and Schroedinger eq.
久野和宏
Kazuhiro Kuno
愛知工業大学
Aichi Institute of Technology
抄録
三つの微分方程式(1)~(3)は上から順に波動方程式、拡散(熱伝導、ブラウン運動)の方程式及び量子力学におけるSchroedingerの方程式としてよく知られている。この三つの方程式は、それぞれ個別に興味ある特徴を有するとともに密接な関係を有している。(1)は波の、(2)は粒子の、(3)は波と粒子の振舞いを表現しており、Schroedingerの方程式は波動方程式と拡散(ブラウン運動)の方程式を統合(融合)したものとなっている。以下ではそのからくり(量子仮説の意味)について考える。
2011年7月15日(大坂)開催 <(一社)日本音響学会 騒音・振動研究会資料>
道路交通振動予測式INCE/J RTV-MODEL —予測式の概要と盛土・切土道路の予測に向けての取り組み—
Prediction Model ”INCE/J RTV-Model” for Ground Vibration Caused by Road Traffic. - Outline of the Prediction Model and Drive the Expansion for Bankd and Cut Roads.-
佐野泰之、志村正幸、内田季延、国松直、横田明則、深田宰史、北村泰寿、成瀬治興
Yasuyuki SANO 、Masayuki SHIMURA 、Hidenobu Uchida 、Sunao KUNIMATSU 、Akinori YOKOTA 、Saiji FUKADA 、Yasutoshi KITAMURA、Haruoki NARUSE
愛知工大 、建設環境研、飛島建設、産総研、リオン、金沢大学、建設工学研、愛知工大
AIT、Civil Eng. And Eco. Tec.、 Toboshima Co. 、AIST 、Rion、 Kanazawa Univ.、 CERIF、 AIT
抄録
日本騒音制御工学会から 2003 年に平面道路を対象に道路交通振動の予測式が発表された。本報では、その予測手順の概要と、地盤振動伝搬式の妥当性について紹介する。 同学会の道路交通振動予測式作成分科会では、予測式の適用範囲を盛土・切土道路や高架道路に広げるための検討が行われている。盛土・切土道路について、昨年度実施した実測調査の概要について紹介する。
世界遺産ルアンパバーンにおける音環境計画 —電動車両導入による道路交通騒音対策—
Planning of sonic environment in Luang Phabang as a world helitage site —Electric vehicles lower the traffic noise level—
松井利仁1、有本純1、黒沢陽太郎1、平松幸三1、D.Seneduangdeth2、K.Sourideth2、S.Phabouddy2、S.Syladeth2
1Toshihito Matsui、1Jun Arimoto、1Yohtaro Kurosawa、1Kozo Hiramatsu
2Dexanourath Seneduangdeth、2Khammany Sourideth、2Saleumsack Phabouddy、2Saychai Syladeth
1京都大学、2ラオス国立大学
1Kyoto University、2National University of Laos
抄録
ラオスの世界文化遺産であるルアンパバーンは、観光客の増加と町の発展に伴い、トゥクトゥクと呼ばれる三輪タクシーや自動二輪車が増加し、道路交通騒音のレベル上昇による音環境の悪化が懸念されている。本研究では、トゥクトゥクおよび二輪車に電動車両を導入することによる道路交通騒音の対策効果を検討した。ルアンパバーン市内中心部の複数の地点において、昼間の交通量・騒音レベルを計測するとともに、各種車両のパワーレベルや走行速度などを計測し、昼間の等価騒音レベルに関するサウンドマップの作成を行った。その結果、予測された騒音レベルが実測値と十分な精度で対応することが確認された。また、トゥクトゥク・二輪車に電動車両を導入することにより、道路沿道だけでなく、ルアンパバーン中心部全域の音環境が改善されることが明らかとなった
世界遺産,道路交通騒音,トゥクトゥク,電動車両,サウンドマップ
建物及び高架道路が併設する平面道路沿道 における騒音伝搬調査
An investigation on sound propagation in a street canyon
一木智之、福島昭則
Tomoyuki ITIKI Akinori FUKUSHIMA
(株)ニューズ環境設計
NEWS Environmental Design、Inc.
抄録
都市部の幹線道路沿道において、道路に面して中高層ビルが立 ち並ぶ場所では多重反射音の影響により道路交通騒音が増加する。まず始めに建物と高架道路が併設する平面道路沿道において騒音測定を行い、沿道における騒音レベルが約 4dB 大きくなることを確認した。次にスピーカを用いて音響伝搬実験を行い、実験した音源と受音点の配置では沿道建物、高架道路及び路面での多重反射音の影響により8~10dB の音圧レベルの増加が見られた。
道路交通騒音,ストリートキャニオン,多重反射音,伝搬調査
ハーフ次数成分に対する心理的不快感と大脳皮質活動の関係に関する検討
Study of Relationship Between Subjective Annoyance and Neural activities on Brain
石光俊介、西川裕美、松尾香織、高見健治、中川誠司、添田喜治、保手浜拓也
Shunsuke Ishimitsu1、Hiromi Nishikawa1、Kaori Matsuo1、Kenji Takami2、Seiji Nakagawa3、Yoshiharu Soeta3、Takuya Hotehama3
1広島市立大学、2兵庫県立大学、3産業技術総合研究所
1Hiroshima City University、2University of Hyogo、3National Institute of Advanced Industrial Science and Technology (AIST)
抄録
近年、加速走行時の車内騒音環境の向上は感性品質面で重要な 課題とされている。騒音レベルの低減のみではなく快音化への要求も高まって おり、音質改善のための音質設計指標の確立が求められている。また、ハイブ リッド車の静粛さが歩行者保護の観点から問題視され、自動車付加音が義務づ けされる動きがある。本研究では「ハーフ次数成分」に着目し、自動車加速走 行時のエンジン音に関する運転者と運転しないものそれぞれにとっての心理的 好ましさ(心理的不快感)を評価した。また、同時にこれらの音の合成手法に ついても検討し、それにより得られたモデル音を安定的な評価の観点から心理 指標(一対比較法による主観評価)と神経生理指標(脳磁界データ)を併用し た評価を行った.
脳磁界解析,ハーフ次数成分,心理的不快感,サウンドデザイン
自動車加速時の適応騒音制御に関する基礎検討
A Basic Study of Active Sound Quality Control for Accelerating Car Interior Noise
浜田浩二、山本学、石光俊介、上鹿庭健浩
Koji HAMADA、Manabu YAMAMOTO、Shunsuke ISHIMITSU、Takehiro Ueganiwa
広島市立大学
Hiroshima City University
抄録
本研究では、自動車加速音の構成成分が聴感に与える影響と、ANCを用いた音質の制御方法について検討した.加速中の調波構造でない部分(ハーフ次数成分[1])や、振幅変調が運転手に与える聴感印象をSD法を用いて調査し、その結果からハーフ次数成分や振幅変調は高級感やスポーツ感に負の影響を与えることを確認した.ANCを用いた音質の制御方法についてCommand-Fx-LMSアルゴリズムを用いて検討を行った.基礎検討の結果、Command Fx-LMS アルゴリズムは振幅変調を補正することに利点があることを確認した.また、実際の車内音を用いた制御において、調波構造の乱れを補正する有用性を確認した.
ハーフ次数成分,Command Fx-LMS アルゴリズム,自動車加速音,聴感印象
水の振動 - 東日本大震災に見る津波の考え方と対策
岡田一秀
トヨタ
2011年8月22日(長崎)開催 <(一社)日本音響学会 騒音・振動研究会資料>
モータリゼーションと環境騒音
Influence of motorization on environmental noise
久野和1、宏吉久光一2、岡田恭明2
Kazuhiro KUNO、Koichi YOSHIHISA、Yasuaki OKADA
1愛知工業大学工学部、2名城大学理工学部
1Faculty of Engineering、Aichi Institute of Technology 2名城大学理工学部 2Faculty of Science and Technology、Meijo University
抄録
都市の音環境の主要因は言うまでもなく自動車(道路交通)である。第2次世界大戦後の日本の経済復興とそれに続く高度成長期における自動車の増加は著しく、今や狭い国土に溢れんばかりである。とりわけ昭和 30 年代後半から 50 年代(1960~1975 年)にかけての増加の割合はすさまじく、沿道や周辺住居の音環境は急速に悪化し、国民(住民)の環境騒音に対する関心が高まり、公害対策基本法の下に「騒音に係る環境基準」や「自動車騒音の限度(要請限度)」が設定され、自治体等により騒音の実態把握と監視を目的に、市域の騒音測定が実施されるようになった。本稿では都市の騒音量と自動車交通量(走行台キロ)との関係を基に、戦後のモータリゼーションと環境騒音の推移(歴史的変遷)を辿るとともに、今後の展望について述べる。
環境音楽による道路交通騒音の心理的な軽減効果
Psychological attenuation effects of background music on annoyance of road traffic noise
城島隼人1、金基弘2、岩宮眞一郎2、高田正幸2、李上俊3、韓熙甲3、申鍾賢14、崔鍾大4
Hayato Jojima1、 Ki-Hong Kim2 Shin-ichiro Iwamiya2、Masayuki Takada2、SangJun Lee3、HeeKab Han3、Jong-Hyun Shin*14、Jong-Dae Choi4
1 九州大学大学院芸術工学府、 2九州大学大学院芸術工学研究院 、3GS建設技術研究所、4サウンドスケープ
1Graduate School of Design Kyushu University、2Faculty of Design Kyushu University 、3GS E&C Research Institute、4Soundscape Co. Ltd.
抄録
BGM(background music)と自然音で構成された環境音楽による道路交通騒音の心理的な軽減効果の検討を行った。恒常法による音の大きさの比較実験により、道路交通騒音よりも低いレベルで環境音楽を付加しても、道路交通騒音の大きさを軽減する効果があることが認められた。環境音楽と道路交通騒音を組み合わせた音の印象評定実験により、環境音楽の付加が音環境の快適性を上昇させる効果が示された。道路交通騒音が55dB 以上の条件においては、道路交通騒音に対して環境音楽が-2dB
の条件で、快適性が最高となった。音楽を流すことが許される空間においては、環境音楽を付加することで心理的な騒音軽減効果が期待できる。
音環境,道路交通騒音,環境音楽,マスキング,快適性
ハノイでの鉄道騒音と振動に関する社会調査
Social Survey on community response torailway noise and vibration in Hanoi
福嶋寛明1、矢野隆1、T.L.Nguyen1、H.Q.Nguyen1、西村強2、佐藤哲身3
Hiroaki Fukushima1、Takahashi Yano1、T.L. Nguyen1、H.Q. Nguyen1、Tuyoshi Nishimura2、Tetsumi Sato3
1熊本大学、2崇城大学、3北海学園大学
1Kumamoto University、2Sojo University、3Hokkai Gakuen University
抄録
発展途上国での交通騒音に対する社会反応を調べるために、ベトナムのハノイにおいて鉄道騒音と振動に関する社会反応調査を2010年8月に4ヵ所で実施し、鉄道と道路交通からの騒音と振動測定を 9 月に行った。社会調査では、鉄道と道路沿いの 600 世帯中 552 名から回答が得られた。鉄道沿いの住宅のバルコニーで測定した振動レベルは、屋外に比べて約 20dB 低くなっていた。鉄道騒音と道路交通騒音の間にはうるささ反応の体系的な差は見られなかった。ハノイでの鉄道騒音と道路交通騒音の複合騒音のうるささを最もよく予測できるモデルは Dominant source model であった。
社会反応,騒音,振動,鉄道,道路交通
自動車内及び車外での聴取を考慮した 警笛のデザインについて
Study on the acoustic design of vehicle horn heard inside and outside of a vehicle
高山徹也、高田正幸、岩宮眞一郎
Tetsuya Takayama1、Masayuki Takada2、Shin-ichirou Iwamiya1
1九州大学大学院 芸術工学府、2九州大学大学院 芸術工学研究院
1Graduate School of Design、Kyushu University、2Faculty of Design、Kyushu University
抄録
他の車両に危険を報知するためのツールである自動車の警笛は、車外の歩行者に対して用いられる場合もある。本研究では、車外と車内での聴取を考慮した警笛について検討した。具体的には、車外から車内へ透過する際の音の高周波数帯域のエネルギーの大幅な減衰や、従来の警笛に対する聴取印 象を考慮して、低周波数帯域のエネルギーを増幅した警笛を提案する。主観評価実験から、この警笛の聴取印象は、従来の警笛に比べて不快感や驚愕感が和らぐことを明らかにした。また警笛の使用意図判断実験を行い、先行研究と同様、意図判断が警笛の吹鳴時間に依存するという結果が得られた。本研究により、低域に主要なエネルギーを有する警笛を用いると、使用意図の判断にそれほど影響を与えず、車内外での聴取印象を改善できることが分かった。
警笛,デザイン,ドライバー,歩行者,聴取印象,使用意図
イヤホンでの音楽聴取時における周囲音知覚 -周囲音の聞こえにくさの評価手法に関する検討-
Perception of environmental soundsby earphone wearerslistening to music -Study on evaluatinglistening difficulty of environmental sounds
藤沢望、大平香織
FUJISAWA Nozomu and OHIRA Kaori
長崎県立大学シーボルト校
University of Nagasaki、Siebold Campus
抄録
イヤホンを使用して音楽を聴取する際の周囲音知覚について、本研究では、レベルやスペクトル特性が時々刻々変動する実際の楽曲を用いて聴取実験を行い、周囲音の聞こえにくさについての評価手法を検討している。イヤホン2 種類(イントラコンカ型、挿入型)、再生音量 2 種類(70dB(A)、80dB(A))、音楽刺激 2 種類(ロック、ポップス)の条件を組み合わせてイヤホンから音楽刺激を呈示し、周囲音としてスピーカーから呈示した純音刺激を被験者は聞き取る。実験の結果、挿入型、80dB(A)、ロックの条件で、周囲音の聴取回数が低くなっていた。また、「聞こえにくさ」を評価するための指標として、純音刺激の聴取確率(被験者のうち何割が聞き取れたか)が 50%となるときの音楽刺激の A 特性音圧レベルを求め、聴取回数が示す聞こえにくさと同様の傾向が得られた。
携帯オーディオ,イヤホン,音楽聴取,周囲音知覚,聞こえにくさ
2011年10月21日(仙台)開催 <(一社)日本音響学会 騒音・振動研究会資料>
建設工事騒音の評価時間について
Assessing Time of Construction Work Noise
加来治郎
Jiro Kaku
財団法人小林理学研究所
Kobayasi Institute of Physical Research
抄録
時間変動の大きな建設工事騒音の評価量に等価騒音レベルを採用した場合、基準時間帯や観測時間・実測時間等の評価時間の設定が課題となる。その検討に資するため、欧米やアジア諸国で建設工事に対して騒音基準を設定している国を対象に、使用されている騒音評価量並びにその評価時間を調査した。多くの国が評価量として等価騒音レベルを採用していること、また、評価時間に基準時間帯と短時間の2 種類の等価騒音レベルを併用する国や、工事期間に応じて基準値を変更する国があることなどが明らかとなった。これらの結果を参照して建設工事騒音の評価時間について検討した結果を報告した。
空白時間の長さが間欠騒音の印象に与える影響
The effect of off-time length on the overall impression of intermittent noise.
森長誠1、月岡秀文1、加来治郎2、桑野園子3、難波精一郎3
Makoto Morinaga1、Hidebumi Tsukioka1、Jiro Kaku2、Sonoko Kuwano3、Seiichiro Namba3
1防衛施設周辺整備協会、2小林理学研究所、3大阪大学
1Defense Facilities Environment Improvement Assosiation、2Kobayasi Institute of Physical Research、3Osaka University
抄録
本研究では、間欠騒音の空白時間が間欠騒音全体や対象騒音のノイジネスに与える影響について検討するため、航空機騒音を刺激とした音響心理実験を行った。その結果、空白時間の長さは、個々の航空機騒音のノイジネスには影響を及ぼしていないことが確認された。また、大局的にみれば、間欠音のノイジネスはほぼエネルギで規定され空白時間の影響は少ないという結果が得られた。一方、音を注意深く聴取する環境下では、空白時間が全体のノイジネスを低下させるという傾向も見られた。すなわち、音を環境音として聞き流している場合と、評価のターゲットとなる音源として注意して聞いている場合とで、異なる情報経路で空白時間の情報を利用している可能性が考えられ、それによって空白時間の影響の仕方が異なったのではなかろうか。
間欠音,空白時間,印象評価,心理実験,連続判断
MRI検査時に発生する駆動音について
A study of the MRI driving sound in MRI examination
近井聖崇1、武藤憲司1、下野泰裕1、八木一夫2、荒川裕貴2、小野寺聡之2
CHIKAI Masataka1、MUTO Kenji1、SHIMONO Yasuhiro1、YAGI Kazuo2、ARAKAWA Yuki2、ONODERA Toshiyuki2
1芝浦工業大学、2首都大学東京
1Shibaura Institute of Technology、2Tokyo Metropolitan University
抄録
MRI装置は身体の断面画像の取得などができる医療診断装置であるが、検査時に大きな駆動音を発生させる。検査は頭部だけではなく腹部、膝も行う。このとき被験者の耳はボアの内部からボアの外部になるため、検査テーブル上におけるボアの外部の駆動音の分析は重要である。我々は 2003 年からMRI駆動音の分析を行っており、機種や製造メーカによって装置から発生する駆動音の騒音レベルやスペクトルが異なることが明確になった。
MRI 検査,駆動音,騒音レベル
ベトナムにおける航空機、道路交通、鉄道からの 騒音によるアノイアンスと生活活動妨害への影響
Influence of aircraft、road traffic and railway noises on annoyance and activity disturbances in Vietnam
森原崇1、矢野隆2、T.L.Nguyen2、H.Q.Nguyen2、福嶋寛明2、西村強3、佐藤哲身4、橋本頼幸5
Takashi MORIHARA1、Takashi YANO2、T.L.Nguyen2、H.Q.Nguyen2、Hiroaki FUKUSHIMA2、Tsuyoshi NISHIMURA3、Tetsumi SATO4、Yoritaka HASHIMOTO5
石川工業高等専門学校1、熊本大学2、崇城大学3、北海学園大学4、ドゥ・リサーチ5
Ishikawa National College of Technology1、Kumamoto University2、Sojo University3、Hokkai Gakusen University4、Do research5
抄録
2005年から2010年にかけて、ベトナムのハノイとホーチミン市おいて航空機騒音と道路交通騒音、鉄道騒音に関する社会調査と騒音測定を実施した。本研究はこのデータを用いて、Ldenによる騒音曝露とアノイアンスとの関係をロジスティック回帰分析により比較した。ベトナムにおける航空機騒音による結果はMiedemaらによるEU曲線よりやや反応は高く、2002年の日本における鉄道騒音の結果とほぼ等しい結果となった。道路交通騒音の結果はEU曲線とほぼ同程度であるが、鉄道騒音の結果は約60dBから75dBにかけてEUの航空機騒音の結果よりも反応が若干高い結果となった。また、3つの交通騒音による生活活動妨害感への影響を検討した。
曝露-反応関係,交通騒音,ベトナム,アノイアンス,生活活動妨害
「大震火災遭難実記‐関東大震災女学生の記録‐」 に記された音の記述
Sounds of the Great Kanto Earthquakedescribed by the Ferris schoolgirls
船場ひさお
FUNABA Nakamura Hisao
フェリス女学院大学
Ferris University
抄録
1923年に発生した関東大震災によって甚大な被害を被った横浜において、当時 16~18 歳のフェリス和英女学校の上級生 151名が綴った震災体験の作文から、音による 322 の記述を拾い出し、音源別に「地震に由来する音」「人の声」「火/爆発音」「津波の音」「静寂/間」「その他」の 6 つに分類し、音の特徴や表現内容を検討した。これらの音の記述から、客観的な音の記録としての側面と、記憶として強く心に残った音を正確に伝えようとする記録内容に現れる心の表現としての側面が見出された。
関東大震災,フェリス女学院,作文集,音の記述,擬音
2011年11月4日(東京)開催 <(一社)日本音響学会 騒音・振動研究会資料>
震災がもたらす音環境の諸問題について
On Acoustic Environmental Problems Caused by Eathquakes
永幡幸司
Koji Nagahata
福島大学
Fukushima University
抄録
本稿では、震災がもたらす様々な音環境の問題のうち、著者がこれまで研究に携わってきた、避難所における音環境の問題、応急仮設住宅における音環境の問題、視覚障害者が指摘する音環境の問題について概観した.その上で、これらの問題は、災害時であっても最低限保障すべき音環境の姿が明確化されていないことに起因して生じるものと考えられることを指摘した.今後同様の問題を繰り返さないためにも、人の福祉と尊厳を保つために、災害時であっても最低限保障すべき音環境の姿を明確化し、それを実現するための方策を構想するという、音環境政策に係る議論が必要不可欠であることを指摘した.
避難所,応急仮設住宅,ストレス,視覚障害者,音環境政策
東日本大震災と聴覚障がい者の情報保障
The Great East Japan Earthquake and Support System of Information for the Hearing-Imaired
中園秀喜
Hideki Nakazono
NPO 法人 ベターコミュニケーション研究会
Nonprofit Organization Better Communication Society
抄録
我が国は超高齢社会となり、難聴を有する高齢者が大幅に増加している。この難聴は健聴者と区別がつかない「見えない障がい」であるため、災害時では、聴覚障がい者に適切な情報が伝達されないことやコミュニケーションがとれないことが大きな問題となっている。特に、緊急事態が発生したときの情報伝達はテレビやラジオの音声、サイレンなどの警報音で行われるため、それらが聞こえない聴覚障がい者では情報保障はゼロに近い。2011 年 3 月の東日本大震災でも、これまで指摘されていた聴覚障がい者への問題点が改めて指摘された。真の情報バリアフリーを推進するためには、これまでの音を利用した災害時の情報伝達の方法も改めて検討して、聴覚障がい者への情報保障を行う必要がある。
東日本大震災,聴覚障がい,情報保障
ユニバーサルデザインの震災経験を踏まえたまちづくり
Univerasal Design Urban Planning for the Earthquake Disaster
秋山哲男
Tetsuo Akiyama
北星学園大学経済学部 客員教授
Hokuseigakuen University Visiting Professor
抄録
本論は、1)障害者・高齢者などに対する基本的な考え方、2) 地震の基礎的な知識、3)津波被害とその対策、の 3 つを論ずる。 第一の基本的な考え方では、「地域生活の哲学」ではノーマリゼイションとソーシャルインクリュージョンを、「デザインの哲学」ではバリアフリーデザインとユニバーサルデザイン、の整理を行った。第二の地震対策では、地震現象の基礎を科学的に考えるために「ゆれによる倒壊と火災」、「揺れの後のク ラッシュ症候群」を論じた。第三の東日本大震災における「津波の被害にいては、「津波に対する避難」、「避難者の外出・医療・買い物」「仮設住宅被」 についてヒアリングから分かったことをまとめた。
高齢者・障害者,地震災害
被災地での聴覚障害児支援
Report for the hearing impaired victims in Touhoku area
立入哉
Hajime Tachiiri
愛媛大学教育学部・日本教育オーディオロジー研究会
Ehime Univ.、Japan Educational Audiology Association
抄録
東日本大震災の震災後、日本教育オーディオロジー研究会が行った聴覚障害児者に対する支援活動の概略を報告する。支援活動の内、被災直後に仙台市、多賀城市、塩竃市で行った現地での支援活動を詳述する。また、被災後に継続して行っている教育資材への支援、教員研修の機会保障、聴覚障害児に電池を直接支援する「バッテリープログラム」を紹介する。最後に、支援を通じて、筆者が感じた課題を述べる。
東日本大震災,聴覚障害,補聴器,人工内耳,電池
防災用広域拡声システムの設計とその現状
Municipal Public Address system for emergency message: Design and the status quo
栗栖清浩、井上真志、山口康紀
KURISU Kiyohiro、INOUE Masashi、YAMAGUCHI Yasunori
TOA 株式会社
TOA Corporation
抄録
防災無線に代わり地域イントラネットを用いた防災用広域拡声システムについて述べた.主局から屋外拡声子局に伝えられた情報は複数のスピーカを組み合わせたスピーカ・クラスタから拡声される.予め単一クラスタによる音響放射特性を算出しておき、それを地図上の作図に用いるという簡便な方法で子局の配置が決定される.ただし、経済的、政治的側面という技術以外の理由により、音声明瞭性が実際にどこまで確保されているか十分な検証ができていない.屋外拡声音の品質を保つためにも公的機関によるガイドライン等の制定が望まれる
防災無線,広域拡声システム,地域イントラネット,音声明瞭性
非常時に備えた音響支援
Contibutions from the view in acoustics to improve emergency preparedness
佐藤史明1、吉村晶子2、森淳一1
Fumiaki Satoh1、Akiko Yoshimura2 and Junichi Mori1
1千葉工業大学、2京都大学・安寧の都市ユニット
1Chiba Institute of Technology、2Kyoto University (Unit for Liveable Cities)
抄録
ここでは、我々がこれまでに行ってきた活動(瓦礫災害救助医療訓練のための音響的支援活動)と研究(防災無線の明瞭性改善に関する基礎的研究)について報告する。前者は、2007年度から 2 か年の採択を受けた、科研・基盤研究(B) (課題:瓦礫災害における医療的支援を含む救助活動に係る空間特性の把握)の一部であり、後者は、2010年度から3 か年の採択を受けている、科研・基盤研究(A)(課題:公共空間における安全確保のための音響情報伝達に関する研究)の一部である。
災害応急活動,音響支援,公共空間,防災無線,明瞭性
2011年12月16日(横浜)開催 <(一社)日本音響学会 騒音・振動研究会資料>
なぜ、製品音のデザインなのか?!
Importance of Product Sound Quality Design
大富浩一、穂坂倫佳
Koichi OHTOMI、Rika HOSAKA
㈱東芝 研究開発センター
Toshiba Corporate R&D Center
抄録
製品は結果として音が発生する。その音のレベルが大きいと日常生活に支障をきたすためにいわゆる騒音レベルの低減が製品開発の際の仕様の一つとなっていった。騒音レベルの低減のために音の研究は深まり、能動消音技術を始め多くの成果が得られた。一方で、騒音レベルを下げるためには多くの手間を必要とし、結果として音が前面に出る製品開発は困難であった。すなわち、騒音レベル低減にはコストがかかり、一方で製品開発の視点からはコスト増は認められないというジレンマに陥った。ここでは、製品開発に携わる技術者として、 製品と音との関係を考察し、結論として“製品音のデザイン”の必要性、重要性を説く。
Sound Design、,Sound Quality,Sound Control、,Design,Cost
ノイズ・ポリシー構築のための一考察
A Consideration for Noise Policy Construction
土田義郎
Yoshio TSICHIDA
金沢工業大学
Kanazawa Institute of Technology
抄録
安全・安心な生活空間の基盤として、静かな音環境も重要なものであるが、音に関しては注目が集まりにくい。音環境デザインに関わる学会としての基本的姿勢をノイズ・ポリシーとして明確に社会に示しておくことは、殊に震災復興のような場面に対して必要である。その一つの方法として品質マネジメントの考え方を援用し、新しい時代のノイズ・ポリシーを規定することも考えられる。従来の法や基準などでは、音自体の規定が中心であった。一方、手続きを定めるプロセス・アプローチも一つの方法である。そこでは、音に対する啓発活動が重要となる。モノではなくヒトに働きかけ、より主体的に市民が音に対する取り組みを行うことを目指すものであり、環境教育ともかかわりが深い。
マネジメント,環境教育,仕様規定,性能規定,プロセス・アプローチ
フランス国立音楽音響研究所(IRCAM) 音の知覚とデザインチームの活動について
Activation Report of IRCAM-Perception and Sound Design team
川上央、ミダリス・ニコラ、スシーニ・パトリック
Hiroshi Kawkami、Nicolas Misdariis、Patrick Susini
日本大学芸術学部、フランス国立音楽音響研究所
College of Art、Nihon Univ. 、STMS-Ircam-CNRS
抄録
:1977 年に創設されたフランス国立音楽音響研究所(IRCAM)では創設当時から音楽音響や音楽情報処理の分野において優れた成果を発表してきた。この研究所の特徴としては研究開発のみならず、ここで開発された技術がソフトウェア化され、多くの作曲家が利用できる環境を作りあげていることである。このことにより、IRCAM から発表される作品は常に技術的にも芸術的にも価値の高いものとなっている。1999 年からは新たに音のデザインを専門とする部署が設立され、現在では芸術分野のみならず、産業分野においても応用的な研究がなされている。ここでは、この音のデザイン分野の研究チームの研究への取り組みを紹介をする。
フランス,サウンドデザイン,Ecological,サイン音,鉄道駅
自動車における音のデザイン
Sound design for Vehicle
戸井武司
Takeshi TOI
中央大学
Chuo Univsesity
抄録
自動車は、走りの性能やドライバの意思に対応した加速音など車内に対する音のデザインと、車両コンセプトに見合ったドア閉まり音や吸排気音など車外に対する音のデザインがある.また、近年ではハイブリッド車や電気自動車など低速域での車外音が小さいため、付加音により対象者に車両の認知性を高めているが、新たな騒音源と懸念されている.そこで、車内や沿道住民など非対象者に対する受容性を高める音のデザインも同時に検討されている.一方、車内の音環境を変えることで、ドライバの覚醒を維持させる研究や、車内空間を領域毎に制御する音場制御の研究もすすんでいる.本稿では、自動車の音のデザインに関する研究について概要をまとめる.
自動車,音のデザイン,音質評価,快音設計,音場制御
音のデザインに関係するISO規格とIT機器
ISO standards related to IT equipment and sound design
高梨彰男
Akio Takanashi
株式会社アイエンジニアリング
I-Engineering Co.、Ltd.
抄録
音のデザインに関係する指標のひとつであるラウドネス(またはラウドネスレベル)の国際規格 ISO532を大きく改訂する作業が始まっている。基本となる研究根拠は、Zwicker 法からMoore-Glasberg法へ大きく変更される。あらたにサウンドスケープを ISO化する WG も始まった。
ラウドネス,ISO532,IT 機器,サンウドスケープ