近年、小規模診療所の待合室付近での問診、税務署窓口での納税相談、学校の教室での学習進路相談、仮設ブースでの法律相談など、会話の秘話性が必要とされるオープンスペースでのスピーチプライバシーの保護が重要視されている。これまでの研究では、マスキング用雑音を用いた場合のスピーチプライバシー保護について、会話の内容が聞き取れるかどうかに着目して考察されている。本研究では、男女の性別がわかる、誰が話しているかわかるといった新たな評価尺度の構成について考察している。さらに、スピーチプライバシーに関する評価指標を導入し、これらと評価尺度との関連性について検討している。
本研究では、ボタン押し音のような過渡音に対しても有効な客観評価手法を提案し、その自動化について検討する。具体的には、連続ウェーブレット変換により時間周波数平面で可視化されたボタン押し音から、さらに3角形ウェーブレットを用いてスケール情報を含む特徴量を抽出し、SD法による聴感印象との関連づけを行った。音質評価の自動化の基礎検討として、11種類のボタン押し音の特徴量からプロトタイプを選定し、他のボタン音との類似度を求める簡易的な認識評価実験を行いその精度を比較した。各スケールの特徴量において良好な認識結果が得られたことから、本手法による音質評価の自動化の有効性が示唆された。K
本稿では、心理学的に測定されている聴覚系の非線形な入出力特性の生理学的なメカニズムを明らかにする。この非線形な入出力特性は、聴覚末梢系の蝸牛の入出力特性を反映していると考えられている。しかし、心理的現象と生理的現象を直接比較することはできない。本稿では、生理学的な知見に基づく非線形蝸牛モデルを用いて、心理実験のシミュレーションを行った。このとき、蝸牛モデルの非線形性は外有毛細胞モデルを由来としている。そして、外有毛細胞モデルは非線形かつ能動的な細胞体運動を基にモデル化されている。シミュレーションの結果は非線形な蝸牛の入出力特性を示した。蝸牛の入出力特性の形状は入力周波数に依存している。そして、非線形性の割合は心理的測定と生理的測定と同等であった。この非線形な蝸牛の入出力特性は外有毛細胞モデルが起こす。このことから、心理学的な測定から得られた非線形な蝸牛の入出力特性は外有毛細胞の細胞体運動が起こすことが示唆される。
道路等に設置される遮音壁による回折伝搬音の制御手法として、エラーセンサーと制御音源を利用した能動制御を用いる試みがこれまでに研究されてきた。本研究では電磁気学の分野で知られた理論である多重極展開から着想を得た新たな制御用音源形状と。能動制御で通常用いられる適応アルゴリズムを組み合わせて用いることで、より広い領域での制御を実現することを目指した。また、エラーセンサーの形状に関しても検討を行い、音場再生分野で用いられるアンビソニックマイクの概念をエラーセンサーに適用することで、制御効果を向上させることを目指した。数値シミュレーションと実験によってその効果を検討した。
本研究では新幹線騒音・振動に対する社会反応を解明するための一助として、現在、標準軌新線として開業している6路線のうちの3路線(九州・山陽・東海道)で騒音・振動測定を実施し、周波数分析を行った。騒音・振動のスペクトルは九州新幹線と山陽・東海道新幹線で卓越している周波数に違いがみられた。新幹線の騒音・振動レベルは概ね、大きいほうから東海道、山陽、九州の線区順で、建設年代の新しい線区ほど小さくなっており、取り組まれてきた防音防振対策に一定の効果があったことが窺えた。
風車音に関する苦情が一部の地域で発生している。国内では低 周波音が問題であるとの声もあるが、海外では風車音に関して低周波音に関す るガイドラインを設けている国はほとんどない。問題の解決にあたり、原因と なる音の周波数範囲の解明が重要である。
本稿では風車音に係る苦情発生地域周辺の家屋内外で得られた騒音・低周波 音の測定データと一般住環境で得られた測定データを比較した。さらに、風車 周辺家屋内外で得られた測定データを解析し、風車音苦情で問題となる周波数 範囲について検討した。その結果、風車音で問題となっているのは 100Hz 未満 の低周波音ではなく、100Hz 以上の周波数の騒音の可能性が高いことが示唆さ れた。
環境省「騒音に係る環境基準」では、道路に面する地域においては一 定地域ごとに基準値を超過する建物の戸数や割合によって基準の達成状況を評価 することになっており、またすべての建物について騒音レベルを測定することは 困難であることから騒音を推計することも認めるとされている。騒音推計には建 物群による騒音減衰量を求める必要がある。筆者らは、これまで直線道路に面す る地域を対象とした “戸建て住宅群による道路交通騒音減衰量の予測法 F2006、 F2006+” を提示してきたが、必ずしも直線ではない実際の道路に面する地域の 環境基準の評価もできるように、本論文では点音源モデルに基づく新たな騒音減 衰量予測法 F2012 を提案する。
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Inconsistency on the definition of % highly annoyed as well as the use of various scales cause difficulties in comparing the outcomes among noise studies. The European Union’s position paper recommended a transformation of various annoyance scales to a 0 to 100 basis and usage of a cut-off at the scale value 50 for % annoyed or 72 for % highly annoyed、respectively. Though ICBEN (International Commission on Biological Effects of Noise) proposed to use 5-point verbal and 11-point numeric scales in socio-acoustic surveys、either of the scales may be usually used. For example、Acoustical Society of Japan proposed a standardized questionnaire on living environment with only 5-point verbal scale. When only the 5-point verbal scale is used for surveys、it may be difficult to precisely compare the annoyance extent with % highly annoyed extent (top 28%) accumulated so far. In this paper a method is proposed to estimate % highly annoyed based on top three of 11-point numeric scale (top 27%) from annoyance extents based on 5-point verbal scale by using data sets obtained from socio-acoustic surveys carried out in Japan and Vietnam.
高所空間において騒音低減効果が大きく、風荷重の影響が小さ い改良型遮音工を考案した。まず、1/5 縮尺風洞実験により改良型遮音工の風 荷重軽減効果を確認した。次に、2 次元の有限差分法(2D-FDTD 法)を用いて 遮音板の幅、角度および枚数(遮音板の間隔)を変化させた場合の騒音低減量 を比較した。さらに、関東近郊の在来線沿線において改良型遮音工を仮設し、 現車試験により騒音低減量を把握した。また、現車試験音場を対象とした 数値解析結果と実測値を比較して、両者の定性的な傾向は一致する ことを確認した。
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The sound insulation performance of double-layer wall reduces because of a resonant problem. To solve this problem、applying vibration absorbers in double-layer wall can improve the sound insulation performance at resonant frequency band because of the vibration control function. In experiments、the sound insulation performance of double-layer wall is measured by sound intensity method in 1/5 scale model. We made various arrangements of materials in double-layer wall to study the mechanism on vibration absorbers. Also、different patterns of vibration absorbers were classified by a parameter、discrete degree、and the sound insulation performance were investigated.
これまで筆者の一人は、数値地形情報から生成された地形および建 物形状を用いた屋外の波動音響数値解析技術を開発してきた。本研究では、当 該技術の検証のため、実在地域の数値地形情報から共通形状の縮尺模型および 数値解析格子を作成し、音響縮尺模型実験及び時間領域有限差分法による大規 模音響数値解析を実施可能なプラットフォームの構築を行う。さらに神奈川県横 浜市内を対象地とし、音響縮尺模型実験および数値解析結果の比較により、数 値解析の適用性の検討を行う。その結果、低周波域の音響伝搬の可視化、およ び音源から近い領域の相対音圧レベル差では両者の良好な一致が見られた。し かしながら、建物の陰及び高周波数での数値解析の適用性に課題を残した。
内 容 梗 概:乾式二重床を 10 m²施工し、端部の隙間の有無による重量床衝撃 音レベルの変化を測定した。端部を開放した場合、共振周波数を 1 質点系のば ねが支持脚防振ゴムのみで計算した周波数帯域で約 10dB 増幅した。二重床端 部を密閉した場合、共振周波数を支持脚防振ゴムと空気ばね並列で計算した周 波数帯域で 5dB 程度増幅した。床先行工法を想定した 25 m²の乾式二重床で端 部などの隙間条件を変えた実験では、125、50Hz 帯域で空気ばねの影響が現 れること、2端部の開放条件によって 31。5Hz 帯域で 3~6dB、63Hz 帯域で 1~ 4dB 変化すること、3幅木や室内間仕切壁の仕様の違いによる重量床衝撃音レ ベルへの影響は小さいことを示した。
年、18~22kHz付近、或いはそれ以上の高周波領域の音波を利用した機器が急速に増加している。しかし、高周波音の聴感上の影響に関する系統的な研究は少なく、公共空間等で暴露する際には、その安全性に配慮した適切な暴露方法が間われる。そこで本研究では、公共空間において高周波音を発生する機器を安全で適切に活用するための指針を得るために、ネズミ撃退器を対象とした現場計測及び、聴感上の影曹を明らかにするために質間紙調査を行い、それらが子供や大人に及ぼす影響について考察した。
危険を知らせるサイン音である警報音のもつ各種の音響パラメータが緊急度にどのような影響を与えるかを明らかにすることを目的として印象評価実験を行った。着目した音響パラメータはパルス間間隔、周波数、パルスの長さであり、評価実験の結果、パルス間間隔は短いほど、周波数は2kHz以下の範囲においては高いほど、パルスの長さは50msよりも長い範囲においては短いほど警報音の緊急度が高くなることがわかった。また、パルス間間隔、周波数、長さの順で緊急度に対する効果が大きいということがわかった。
現在、沖縄県には約236。7k㎡の米軍基地が所在し県土面積2274。6k㎡の10。4%を占めており、米軍基地が関係市町村の都市計画などに大きな影響を与えている。中でも航空機騒音問題は深刻で、離着陸音やエンジン調整音など周辺住民の生活環境に多大な悪影響を及ぼしている。そんな中2012。10。1オスプレイが普天間飛行場に配備された。辺野古アセスの最終の評価書でオスプレイの配備が公表され低周波音が問題視される中での強硬配備となり、初日の着陸時から低周波音が測定されその後いたるところで観測された。本研究で沖縄の新たな騒音被害となる低周波音のデータの収集を目的にした調査データを紹介する。
本稿では自衛隊等飛行場周辺における航空機騒音の無人測定に関する現状の課題を背景として述べた上で、ニューラルネットワークを用いたジェット戦闘機の機種識別に関する試算結果を報告する。過去にも、自衛隊機等の航空機騒音の周波数データを用いた機種識別が検討されており、「ジェット戦闘機」、「プロペラ機」などの大分類には成功しているが、本稿はジェット戦闘機の中でもさらに具体的な機種名を判別する取り組みを報告するものである。今回対象とした範囲に限定すれば、ほぼ100%に近い分類ができたが、限定的な試算結果であるため、最後に今後の課題を整理する。
万葉集は我が国最古の歌集であり、天皇から庶民に至る様々な階層の人々の歌が集められている。雑歌、挽歌及び相聞に三分類されているが、静かに耳を澄ませると、鶴や千鳥、鶯や雲雀、霍公鳥や雁など様々な鳥の声が聞こえてくる。
風車 1 基が設置されている平坦な場所において、その周辺の多点で騒音の長時間同時測定を実施し、ナセル上部で 1 秒間隔に観測されている風速、発電出力などのデータを用いて、水平および鉛直方向の音響放射特性に着目した検討を行った。その結果、ナセル側方での音圧レベルは、前方および後方に比べて 5dB 程度低くなること、またロータ中心部から端部までのレベルは地上のそれと同程度であることなどがわかった。
本論は、エコカー普及による交差点付近の騒音環境改善効果検証のために、電気自動車に ついて、速度依存のパワーレベル測定を行い、モデル化を実施し検討したものである。その結果、エコカ ー(EV 乗用車)では定常走行時はタイヤ音のみの音に近似される。一方、非定常走行時は、エンジン音と タイヤ音の寄与率が線形的に変化することがわかった。さらに、エコカー (EV 車)のパワーレベルをモデ 椎ル化し価騒音レベルの低減効果を算出した。常走行時と非常時の低減効果を比較した結果、低速 域の非定常走行の際の低減効果が大きいことから、エコカー普及(EV 車)がさらに進めば、交差点付近の 騒音環境改善に寄与することがわかった。
音質評価を目的に一対比較法に基づき実施される試聴実験では、評価(比較)すべき音源の数が多くなるにつれてその組み合わせの数が膨大となるため、1 回の実験で評価できる音源数には事実上限界がある。また、このような理由により音源を複数のグループに分割して実験を行った場合、同じグループに属する音源間の順位付けは可能であっても、異なるグループに属する音源間では相互比較ができないという問題点を抱えている。そこで、一対比較法に代わる印象の評価尺度として脳波などの生体情報が利用できないか検討することにした。現在、我々はプリンタ動作音や冷却ファンの音質評価を行っているが、今回はファン音を例にとり、過去の印象の評価結果との対応関係を調査した。その結果、無音時と有音時とのα1 波の変化量と一対比較法で得た尺度値との間の対応関係が比較的良いことが分かった。
プレキャストコンクリート工法で複数枚のパネルを接合させて床版とする場合、パネル相互の接合部の力学的特性により音響・環境振動に対する性能が単一パネルと比べると劣ることがある。建物を建設する場合、工期やコストの面から施工性を考える必要もある。これらの要望から、施工性をさらに向上させ、かつ、音響・環境振動に対する性能を改善した工法を開発した。本報では床版の振動特性について、種々の検討をしている。提案した工法を用いることにより、複数枚のパネルを接合してできた床版は、単一パネルと同等の振動性状となることを確認できたことなどについて報告する。
波の伝搬速度cが各周波数ωに依存する分散性媒質中における並みの伝搬について考え、シュレーディンガーの方程式や拡散及び熱伝導の方程式との関連について述べる。
音のデザインに共通する研究テーマとして、人の音に関する認知構造の 解明がある。そこで音のデザインと知覚、そして評価に関する現状を概 説する。音のデザインにあたっては人が音をどう感じているのか [ 知覚 } その人の音の感じ方をどう表現するのか [評価]を明らかにする必要が あり、音と他感性との相互作用、多様性、暗黙知の顕在化等々を含めた 包括的な取組みがなされている。
心理学における既有の知やデザイン論を援用し、統合的なフレームを呈示することを試みた.これまで、知覚と行為をいかに効率的かつ結果として快適さを保ちながら連鎖させるかが音のデザインの主な韻域であったと思われる.本論では、「微弱に知覚されたアフォーダンス」が駆動する内省的な認知プロセスを経て、意味を再構成し、調節により既存のシェマを拡大するという一連のプロセスを、新たなデザイン領域と考えた.その対象として、空間、工業製品、都由の音環境のデザインについて事例を交えて議論した.不便益という概念を、内省的認知プロセスに接続させ、ここで示した新たなデザイン領域が次のパラダイムの底流になることが、成熟した音環境の実現と同意であることを示した.
都市部の空間は多種の音源が混在し、騒音レベルは高くなりやすい 。そこで本研究では、心理的側面から静かな印象を得られる手法を検討した。物 理的に音圧レベルの低い「静かさ」ではなく、静かな印象や雰囲気を含めて『静 けさ感』と定義する。静かさの感じられる要因を明らかにするため、冬季と春 季に東京都内の都市公園にて音環境調査を実施した。静かな印象の得られた音環 境では、評価の理由とされた音事象に特徴があった。また、滝の音や子供の声は 静かさの評価値にばらつきがあり、音圧レベルに依らない、静けさ感に繋がる要 因があった。本調査で得られた評価語を基に『静けさ感』の調査を実施する。
近年の日本の多くの調査では、欧米諸国と異なりRailwayBonusの妥当性を確認できないことが報告されている。この違いを明らかにするため、著者らは、仕会調査のデータを用い、家屋振動による交通騒音に対するアノイアンスの増幅効果を検討した。騒音暴露量が同レベルの場合に、地盤上での振動レベルは新幹線鉄道、在来鉄道、道路交通の順に大きく、これはアイアンスの愁訴率(%HA)と同じ順であった。続いて、地盤上の振動レベルが大きいグループの方が、小さいグループに比べ、%HAが高いことも確認した。さらに、がたつきの有無による%HAへの寄与も確認できた。以上のことから、家屋振動により、鉄道騒音に対するアノイアンスが高くなっていると考えられる。
既報では、さいたま市において実施した、鉄道および道路交通による振動・騒音に対する影響評価に関する社会調査、および対象地区の振動・騒音測定の結果を報告した. 本報ではその続報として、特に振動に着目し、屋内外で実施し た振動測定結果や、振動の感じ方やそれにより受ける迷惑に関する質問に対する居住者からの回答を用いて、交通振動の実態および社会反応の詳細について報告する.まず、振動の周波数分析結果や、屋内外での振動特性の差異を示し、それらについて考察を加えた。つぎに、これら交通振動の実態に基づきながら、振動の感じ方や振動により受ける迷惑に関する居住者の回答について、その特徴と解釈について述べた
道路橋を大型車両が走行することによって生じる橋梁振動が周辺環境に低周波音として放射され、問題と なっている事例が見受けられる。本実験ではジョイント近傍通過時に発生する 10数 Hz以上の橋梁振動対策工の開発を目的とし、橋梁の詳細調査を実施すると共に、対策工として運動量交換型振動吸収ダンパーを試作し実橋において振動低減効果の確認実験を行った。その結果、1大型試験車両走行時の実験では、振動数 13Hz付近のピークレベルにおいて橋梁床版振動及び地盤振動のピーク値を約30%低減、振動数38Hz では、橋梁床版振動、低周波音及び地盤振動において約 5%~10%の低減効果を確認210 分間連続測定時の結果では、振動数 13Hz の床版振動、低周波音及び地盤振動で 20%~35%の低減効果と成った。
とがある。航空機の低周波音測定の場合は、1機毎に測定値(最大値)が航空機によるものか、風雑音によるものかを判断する必要がある。我々は、低周波音以外に風速や騒音レベルを観測し、これらの観測値を変量とした判別関数より航空機の低周波音を解析した。この解析により低周波音の判別ができれば、測定の無人化も可能となる。なお、測定においては風速の測定や、防風処理を簡易に出来るように工夫もしたので、併せて報告する。
本研究においては、騒音曝露環境下において長時間精神作業を実施した際の疲労感について、騒音曝露の有無および曝露される騒音の音質による影響を明らかにし、疲労感を低減可能な音質を見出すことを目的としている。本報では4種の機械騒音暴露状態および無音状態において48分間連続的に数字探索課題を行った場合の6分ごとの疲労感の主観評価試験を実施した。その結果、無音時もしくはLoudnessが7sone程度の試験音においては疲労感の主観評価量が低減することを定量的に明らかにした。
新幹線鉄道騒音の測定では、列車通過時の騒音レベルと併せて列車速度等の列車情報を求める必要がある。列車速度は、一般には列車長と目視による通過時間から算出するが、軌道の多くは高架であり、民家が存在する場所では防音壁が設置されていることから目視により確認することは難しい場合も多い。沿線の地盤振動波形には各車両の通過による周期性が見られたことから、地盤振動波形から列車速度を推計できると考えた。一般的な{言号処理により走行速度推計した結果、時間波形の自己相関関数に着目して推計した列車速度と実際の走行速度は良い
個体伝搬音の予測において、波動数値解析を適用すれば高い予測精度が期待できるが、現状では多大な計算機負荷が課題となる。この課題に対処するため、著者らは、必要記憶容量の軽減および解析の高速化を可能とする固体伝搬音解析手法について検討を行ってきた。この手法では、建築構造を板要素の複合体として簡易なモデル化を行うため、計算効率の向上が見込める。本報では、提案する解析法の概要、および妥当性の検証結果について報告する。コンクリート構造物を対象とした実測との比較による、実大構造に対する適用性の検証結果も併せて示す。
近年、住宅地の近くで行われるトンネル工事が増加している。多くのトンネル工事は経済性により昼夜連続で行われ、発破による掘削が実施されている。発破作業時の音は単発的に発生するが非常に大な音で主な周波数成分は低い周波領域にある。住民に対する主な発破音の影響は建具のガタツキである。発破音の一般的な対策として工事中のトンネルに防音扉が設置され成果を上げている。防音扉を使用する時、防音扉の減音最は重要になる。しかし、防音扉の減音量は音源および構造物の大きさから実験室等で簡単に計測出来ない。また、発破音及び減音量の測定方法も定まっていない。我々は、我々の知見で設定した測定方法を用い現場に設置した構造の異なる防音扉の内外の発破音の音圧レベルを測定し求めた音圧レベル差を防音扉の減音量として表し、防音靡の選択時に用い実績を積んでいる。防音扉は、必要とされる減音量により構造も異なり複数設置する場合も有る。本編では、数種類の防音靡の減音量について示す。
共鳴器型の吸音機構として、Helmholtzの共鳴器がしばしば用いられる.主に低域の共鳴周波数近傍の狭帯域で吸音を行うが、頸部の空気の振動エネルギーを効率的に吸収しているとは考えられず、また、内部空洞と外部を結ぶ頸部の寸法はかなり小さいため、大きな吸音力を得ることは困難と考えられる.一方、筒状空洞を利用すれば、その中に気柱共鳴による定在波が無数に生じ、大きな振動エネルギーを蓄えることができると考えられることから、そのエネルギーを適切な特性を持つ吸音材料によって効率的に吸収すれば、大きな吸音力が得られるであろう.本稿では、気柱の共鳴を利用した吸音構造について、理論計算と実験からその有効性について報告する.
フラクタル構造体は、多くのスケールを含む特徴から音の散乱、吸音に役立つ可能性 をもつ. 本研究では、フラクタル構造体を音響現象に適用できるスケールとした、音響シルピン スキーカーペット (Acoustic Sierpinski Carpet:ASC) の特徴について報告する. 解析方法として、Kirchhoff の回折理論とフーリエ解析理論を用いる.
フラクタルをモデルとして設計した導波管が、あらゆる周波数の音に影響を与え、騒音低減に良い作用をもたらす可能性があることを示す。研究対象は、1次元フラクタル図形であるカントール集合をモデルとした導波管である。このフラクタル導波管がもつ吸音性能の周波数特性について、数値シミュレーションと実験によって調べた。数値シミュレーションでは、数種類のフラクタル導波管について比較をおこなうことで、フラクタル特有の性質が音波に与える作用に注目して調べた。実験においては、数値シミュレーションで得られた結果が実際の現象においても有効であるかを確かめた。
3次元音響数値シミュレーションを行う際の問題点として、対象地域の境界条件の設定方法がある。中でも、境界の音響特性に関するデータベースが無いため、多くの先行研究では一様の音響特性を与えている。そこで本研究では、実在地域における地表面の吸音特性を考慮した音響数値解析技術の開発を目的として、ハイパースペクトルデータを用いた地表面吸音境界条件の生成手法を提案する。提案する手法は、MED-SD法を改良し、判別が困難な反射性の地表面種別を“その他”のカテゴリに分類するもので、そのために必要となる閾値の設定方法と教師スペクトルの算出方法について検討した。
静かな環境下と騒音環境下において音楽の最適聴取レベルを調整法により測定した。騒音の付加に伴って、音楽の最適聴取レベルは上昇した。静かな環境下と騒音環境下のどちらにおいても、音楽の最適聴取レベルには男女差が認められ、男性の方が女性よりも最適聴取レベルを高く設定していた。帯域ノイズを用いた音の大きさの評価実験を行なった結果、男性は女性よりも同一音圧レベルをより「小さい」と評価していた。さらに、音の大きさの評価値における男女差は帯域ノイズの中心周波数に依らず認められた。このことから、周波数に依らず存在する音の大きさ評価における男女差の存在によって、音楽の最適聴取レベルに男女差が生じたと考えられる。
オフィス機器から発生する衝撃音は、本体だけでなく付属機器からも発生しており、機器全体の音質に影響を与える。そこで、付属機器の衝撃音を合成した稼働音を用い、機器全体の稼働音の衝撃感に対する付属機器の衝撃音の影響を調べた。その際、稼働音からの衝撃音の突出量や衝撃音の発生周期などを系統的に変化させた。その結果、衝撃音の高周波数帯域のエネルギーが増加するほど、発生周期が短くなるほど衝撃感が強まることが分かった。音響物理指標との関係を検討したところ、5%時間率騒音レベル(Las)と衝撃感の相関が高いことが分かった。ロジスティック回帰分析を用い、刺激中の衝撃音が気になると評価した実験参加者の割合とLasの関係を調べたところ、Lasが約50dBを上回ると半数以上の実験参加者が気になると評価することが分かった。
本報は、住宅換気口に対してフィードフォワード型のアクティブ騒音制御技術を適用して、パッシブな技術では難しい中低音域の騒音を低減することを目的とする。初めに、試験住宅において模擬的な制御実験を行って、換気口を透過する騒音をアクティブに制御することで一定の効果が得られることを確認し、その後、沿道に面して大きな騒音に曝される住宅にも適用できるよう、制御効果をより高めるための手法を検討する。すなわち、制御用スピーカーの設置方法、制御用マイクロホンの適切な設置位置、制御アルゴリズムの性能向上という 3 つの検討を行う。その結果、換気口をアクティブに制御すると聴感で認知できるほどの効果があること、制御用スピーカーをフードに組み込むことで逆効果を抑えられること、制御マイクロホンは換気口の径や長さに合わせて適切な位置に設置すべきであることを明らかにし、さらに、アルゴリズムを工夫することで制御効果をより高められる可能性があることを示す。
これまで路面の凹凸や伸縮装置前後の段差上を車輌が通過することにより、車輪からの加振力が橋梁に伝わ勃起され、低周波音が発生するとの考えに基づき、TMD(動吸振機)や桁端バンパー、センターダンパーなど様々な対策が実施され、その効果も報告されている。しかし、現在の橋梁を取り巻く環境は、耐震性の向上を目的とする免震ゴム支承の採用や、環境問題の解決を目的とする遮音壁や裏面吸音板の設置、さらに下部構造の形式など複雑化しており、これらも低周波音発生の一因となっている可能性も考えられる。そこで、本報告では、低周波の発生が原因により沿道家屋の振動問題が顕在化している橋梁において、橋梁床版の他、橋梁付属物や橋梁下部工などにおいて複数の測定点を配置し調査を実施した結果、調査対象橋梁の付属物である裏面吸音板は、低周波音の発生を増幅させている可能性があることが明らかとなった。
環境省「騒音に係る環境基準」では、道路に面する地域においては一定地域ごとに基準値を超過する建物の戸数や割合によって基準の達成状況を評価することになっており、すべての建物について騒音レベルを測定することは困難であることから騒音を推計することも認めるとされている。騒音推計には建物群による騒音減衰量を求める必要がある。筆者らはこれまで、直線道路に対する戸建て住宅群による道路交通騒音の予測式F2006を提案し、さらに前報では、直線でない道路にも適用できる、点音源モデルに基づく戸建て住宅群による道路騒音減衰量の予測法F2012を提案した。F2012は受音点高さ1.2mに限定されているため、本報ではF2012を1.2m以外の受音点高さの騒音減衰量も予測可能な式に拡張する。
屋根を設けて閉鎖空間化して解体作業を行うことで、屋根がない従来の超高層建物解体工法より近隣への解体騒音を低減できる超高層建物閉鎖型解体工法を開発した。その騒音伝搬性状を把握するため、解体現場における各種測定と拡張エネルギ積分方程式法を用いた騒音伝搬シミュレーションを行った。そして、予測結果と測定結果を比較することで、その予測精度検証した。さらに、騒音伝搬シミュレーションによって超高層建物閉鎖型解体工法と従来解体工法の騒音低減効果を比較した。
日本騒音制御工学会から 2003 年に平面道路を対象に道路交通振動の予測式が発表された。この予測手法を切土道路に拡張するためには。法面の振動伝搬を明らかにする必要がある。本報では、切り土道路における振動伝搬実験の結果から、音と同様な回折減衰の考え方によりその影響を予測できるかなどについて検討を行う。
道路交通沿いに建てられた遮音壁の騒音低減効果における大気中の屈折の影響を、Parabolicequation法(PE法)を用いた数値解析により検討した。通常は平坦地形を想定して行われるPE解析において、遮音壁の影響を近似的に考慮する方法を採用した。昼夜の区別および雲量による5種類の音速分布を想定してPE解析を行い、遮音壁背後における騒音レベルのユニットパターンおよび単発騒音暴露レベルを算出した。晴れた夜間の下向き屈折による単発騒音暴露レベルの増加幅は、遮音壁背後20m地点で1dB未満であった。PE解析において大気の乱れを考慮しなかったため、単発騒音暴露レベルの増加幅は過小評価されている可能性がある。
NEXCO中日本と小林理研が共同で開発した新型吸音ルーバーについて、これまでに実施してきた一連の実物実験を縮尺模型実験により再現し、遮音性能に関する検討を行った。本報では道路模型実験に先立ち、様々な条件で実施した模型残響室を用いた遮音性能試験の結果を報告する。まずは、実験結果に基づき道路模型実験に用いる模型ルーバーを選定した。次に、響室開口部に設置するルーバーの方向や面積、残響室の体積を変化させて実験を実施した。その結果、これらの要因による挿入損失の変化は小さいことが分かった。しかし、ルーバーが本来有する隙間以外に隙間がある場合には、そこからの漏洩音の影響で挿入損失が低下することが明らかとなった。
近年、ハイブリッド車や電気自動車の静音性が注目され、それが招く危険性への対策として、車両に設置したスピーカから音(接近通報音)を発生させて歩行者に車両の存在を知らせることが検討されている。これまでの研究によって音による対策の効果的は限定的ではあることが明らかにされつつある一方、想定される都市環境騒音下で適切に聴取できる対策音設計として、ラウドネスを考慮した検討が進められている。本稿では、問題背景や、環境騒音源としてのハイブリッド車等の影響、さらに現在検討されているラウドネスを考慮した接近通報音設計の事例と課題を概観し、それらが将来の道路交通騒音に与える影響について考察する。
本稿では鉄道沿いの応急仮設住宅の音環境の問題について検討した.応急仮設住宅の音の問題は隣家からの騒音だけではなく、立地や団地内の位置、騒音感受性とも関連があることを指摘した。立地による音環境の問題が発生しているのは、応急仮設住宅の用地確保の際に音環境の問題が重要視されてないことに起因すると考える.騒音感受性が高い群では、低い群と比較すると音、電車の音、車の音への愁訴が多く、睡眠の変化の訴えも多い.入居者の健康を守るためには騒音感受性が高い人への配慮も必要だと考える.将来建設される応急仮設住宅では、音環境の問題が発生しないように対策が講じられるべきだと考える
音が長距離伝搬する際、気象(風・温度分布)の影響を受ける。加えて、音源が指向性を持っていた場合、指向性と気象の影響の相互作用が生じる可能性がある。そこで今回、無指向性音源と既知の指向性を持つ音源(指向性スピーカ)を用いて、障害物の少ない平坦な実験場にてフィールド実験を行った。無指向性音源と指向性音源での最大±500 mの伝搬における音響伝搬特性を比較し、音源指向性と気象影響が音の長距離伝搬煮に与える影響を検討した
可聴域よりも低周波数の音波(インフラサウンド)の観測により雪崩の遠隔監視を実現すべく、その第一歩として、新潟県十日町市において、雪崩が頻発する斜面を近距離で臨む場所に高性能の気圧計を設置し、雪崩現象 が励起する低周波音の観測を試みた。観測を実施した期間は、2013年1月23日から4月16日までである。この観測により、比較的規模の大きな雪崩について、雪崩現象が励起したと考えられる低周波音を確認した。観測されたシグナルの特徴は、雪崩現象の特徴とよく整合しており、低周波音の観測により雪崩を遠隔監視しうることが明らかとなった
新型吸音ルーバーの騒音低減効果に関して、これまでに実施してきた一連の実物実験を縮尺模型実験により再現し、検証を行った。模型残響室を用いた遮音性能試験の結果に基づいて選定した模型ルーバー設置前後の条件で道路模型実験を実施した。遮音性能試験と道路模型実験の挿入損失を比較した結果、フルスケール実験に比べ現場スピーカ実験の挿入損失が低下した要因としては、ルーバーが本来有する隙間以外からの漏洩音の影響がその一つと考えられた。また、壁高欄等の回折の影響を受けるような箇所では、騒音低減効果が低く見積もられる可能性があることを示唆した。新型吸音ルーバーの騒音低減効果は、諸要因の影響によりフルスケール実験の結果より低くなるが、開発目標値が目安になることを示した。
C型CIP法による多次元音場解析において、解析領域を有限で打ち切る外周境界にPML(PerfectlyMachedLayer)吸収境界を実装する手法を提案する.定式化おいては、従来手法で用いられている差分近似を適用せず、比較的単純な式で解析的に計算可能であることを示す.PMLの設定パラメータ、周波数及び入射角と吸収効果の関係を把握するため、2次元自由音場におけるパラメータスタディを行う.この際、解析結果からPML表面及びその背後の外周境界からの反射波による干渉の影響を除く方法を示す.また、2次元屋外音場解析にPML吸収境界を適用し、その有無による解析結果を比較する.その結果、特に回折領域に対しては、外周境界から観測点に到達する反射波が大きな計算誤差と成り得ること、CIP法のよる解析においてもPML-ABCの適用は必須であることが示された.
これまで筆者らは、道路交通騒音の長距離伝搬に対する風の影響について調べるため、実測実験を行ってきた。その結果を既存の予測モデルと比較したところ、相違が見られた。そこで本研究では、風の影響をより詳しく調べるため、また道路構造の違いの影響を調べるため、盛土道路及び平坦道路を対象に受音点間隔を変化させて騒音・風速の同時実測を行い、予測モデルと比較を行った。その結果、両道路構造において予測モデルとは異なる結果が見られた。また道路構造毎にも違いが見られたため、道路構造毎に予測式の改善案として音圧レベルのばらつきの考慮の有無それぞれについて新たなモデルの提案を行った。提案モデルは、実測結果とよく一致した。
音響伝搬に関わる予測計算研究が数多く行われ、その高度化も著しい。著者等は音源収集や境界条件設定に欠かせない音響インピーダンス計測と複素音響伝搬特性の計算、畳み込み演算を基本とする屋外音響伝搬特性の可聴化を目標にシミュレーション研究に取り込み、さらにステレオ化や移動音源も対象化して音像変化をより実感可能とした。移動音源化では夥しい音響伝搬特性計算を必要とするが自然な可聴音源を得られた。さらに頭部伝達関数(HRTF)により音源移動が体感し易いバイノーラル受聴化シミュレーションを試行し、その機会に障壁の回折現象も伝搬条件に組み込み、やや複雑な伝搬計算でも音場そのもの、騒音対策による効果などを直接聴くことを可能とした。
本研究は、日本語らしさの評価システムを構築することを最終目的とし、データの収集分析を行っている.言語には、どんな言語であれ、リズムが必要である.もちろん日本語にもリズムがあり、それは等時性を持つと言われている.そこで、実際に東京方言話者と中国人日本語学習者の音声を録音、分析し、音長の比較を行うことで、日本語の等時性の仕組み、拍長のゆれの原理を解明する. 今回の研究では、東京方言話者は、拍、モジュールの双方において等時性を作り出していることが分かった.また、ポーズが日本語らしいリズムの形成の一端を担っていること、ピッチ変化が音長の知覚に影響を与えていることが明らかになった.
This research aims at establishing a system to evaluate the quality of Japanese language. Any language、including Japanese、has rhythms. Japanese language has its own rhythms、which are believed to be isochronous. We collected speech data of Japanese native speakers and of Japanese language learners from China to compare and analyze the mechanism of Japanese isochronism and the principle differences in the sound duration of morae of the two groups. In this study、we found Tokyo dialect speakers produce isochronism by combining both morae and modules.Additionally、we found that the speaker’s pose plays a part in the formation of Japanese rhythm and pitch change affects the perception of the sound duration.
市販の映像作品の一部を用いて音楽と映像それぞれの印象と調和感の連続測定実験を行い、調和感が形成される心的過程についての検討を行った。制作者は意図的に類似した印象の音楽と映像を組み合わせ、調和感の高い映像作品を作り出している。このような調和感は、意味的調和と言われている。別の作品の音楽と映像を組み合わせても、音楽と映像の印象は類似せず、意味的調和は形成されない。意味的調和は、音楽と映像の印象を感知した後に形成されるので、ある程度の時間がかかる。しかし、一旦調和感が形成されると、音楽と映像の印象の類似性が弱まっても、調和感は持続する。また、映像の展開に合わせて、次第に調和感が上昇する。
Continuous rating experiments on the affective impression and congruence of moving picture and music of visual media productions were conducted to clarify the psychological process for creating congruence between moving picture and music. When moving picture and music evoking similar affective impression were intentionally combined by the producer、the perceived congruence between moving picture and music was high. This type of congruency is called semantic congruency. A specific duration was required to create semantic congruency between moving pictures and music. However、once the semantic congruency was created、the effect of semantic congruency continued after the factors of semantic congruency disappeared.
本研究の目的は、母語をはじめとするCV、V-CV、CV-CV音節のピッチ弁別限を心理物理的な手法により測定し、ピッチに及ぼす母音の効果について定量化する事である.弁別実験の結果、母音では、“a”と“o”の弁別限が大きく、“e”が最も小さかった.この原因は複合音における低い領域に存在するDominanceRegionと中域のTemporalFineStructureでのフォルマント成分の1次(F1)と2次(F2)の分布によりある程度の説明が可能である.また、CV音節の弁別限に関しては、It、Jkに関しては母音に依存しているが、In/、/m/については別の要因が考えられた.本実験で用いたV-CV音節とCV-CV音節に関しては、単独の母音(V)とCV音節で測定された弁別限の平均値により推定の可能性が示された.
Thresholds (DLs) were measured for discrimination of pitch (fundamental frequency) of complex tone、Japanese V and CV speech. A nominal F0 of complex tone was 170 Hz and the pitch of V (a、i、u、e、o) and CV (ta、ki、nu、me、mo) speech were resynthesized same as 170Hz. Tone and speech were band-pass filtered and presented in threshold equalizing noise. As the results、the DL of vowel “a” and “o” were larger and that of “e” was smaller. The results suggest that F1 information within the dominance region was used for pitch discrimination. Also it seems that temporal fine structure (TFS) information on F2 was used for pitch discrimination. For CV including /t/ and /k/、the discriminations were depended on the vowel、but the discrimination of the CV including /n/ and /m/ were depended on another factors. The results shows the DLs of V-CV and CV-CV sound were estimated using the geometric mean of DL between V and CV.
我々は、歌声固有の音響特徴に基づいた高品質なオペラ歌唱合成を目指している.本稿では、音響分析によってヴィブラートと歌唱ホルマントの音響的特性を調査し、それらの特性が歌声知覚に与える影響について調査した.音響分析の結果、ヴィブラートについて、速さは徐々に加速し、変調幅は山なりに変化することが分かった.また、歌唱ホルマントについては、話声に比べ 3 kHz 付近のスペクトルエネルギーが平均で 15 dB 強いことが確認された.聴取実験の結果、両特徴を分析結果に基づいて制御することが高品質なオペラ歌唱合成において重要であることが示唆された.
The goal of this study is to construct a vocoder-based synthesis system that can synthesize high-quality operatic singing voices by controlling acoustic features unique to singing voices. In this paper、we first analyzed the characteristics of vibrato and singing formant、and then investigated the perceptual effects of the characteristics by listening experiments. Analysis results were as follows. (1)A vibrato rate increased at the end of tone. (2)A change pattern of vibrato extent showed curved line. (3)A singing formant was remarkable peak around 3 kHz in the singing voices spectrum and the peak was 15 dB higher than one of speaking voices. Experimental results indicated that precise control of the characteristics according to the analysis results was able to improve the quality of the synthesized operatic singing voices.
札幌の列車騒音や地下鉄騒音、路面電車騒音に対する住民の反応と比較する目的で、函館において路面電車騒音に関する社会調査を実施した。調査対象は路面電車の軌道沿線に居住する住民 354 名で、そのうち 174 名から回答が得られ、回収率は 49%であった。アンケート終了後には騒音測定を行い、各住戸の騒音暴露量を求めた。その結果、函館の路面電車騒音に対する不快感反応は札幌と同様に小さく、列車騒音や地下鉄騒音を概ね下回るという結果が得られた。また、その原因を考察し、路面電車の印象や利用頻度といった非聴覚的要因の影響が大きいという結論に達した。
近年、走行音が小さいハイブリッド車や電気自動車などの次世代自動車が普及しているが、高い静音性ゆえに歩行者が接近に気付きにくく危険であるとういうことが問題となっている。この対策として、国土交通省はガイドラインを作成し、対象となる自動車に車両接近通報装置を搭載することを促した。しかし、このガイドラインでは装置から発する接近報知音の音質に関する厳密な取り決めがされていないため、企業や研究者によって様々な接近報知音が考案され今も議論が続いている。本研究では、快適な接近報知音の設計手法の一助となる事を目的として実験的に検討したので報告する。